疇 | 真面目に遊んで飯を喰う(2nd season)
自分の存在が役立つとは思っていないし
この先…結果が伴ったとしても、それが役立ったとも思えないはず。

あくまで『出来る範囲で!』の姿勢。



正確な脳内指数が計測できるなら・・・

0.5%くらいしか占めてないだろう!きっと。



恐らく同級生の中での出世頭かも。

負けてるところは
奴はバスケットの広島選抜になり地方紙の片隅で少しだけ脚光を浴びた。
奴は父親が広島では有名な部類に入る会社経営者にして地方議員。
奴は推薦入試チケットを手に入れたので高3の冬を遊んで暮らした。
奴は大学時代の仕送りが多かったので
都内で交通の便の良い大きめの部屋に住み、1年の冬には車を持っていた。


勝ってるところは
クラブに参加しない分だけ成績は上だった。偏差値にして3程度。
父親の存在が大きすぎる奴は気の毒なくらい窮屈な社会人人生。
奴が振られた女の子から告白された。
奴は高3になっても英語の3人称の扱いをなぜか理解してなかったりした。

奴は数年前に「いずれは国政に出にゃならん」と
右耳から左耳を一直線に流れ出るような発言をするような男・・・。



奴が国政に出る。


広島からはマル(=マルイ)他数人、東京も合わせれば10人が集う。

20数年ぶりに会う者が大半。

呼ばれた者それぞれの
ココに集まった意識もそれぞれの脳内指数も解るはずもない。

脳内は解らないが脳を囲う頭表皮の毛の本数は明らかに疎ら。
それを見て改めて親に感謝する。

他人の外的コンプレックスを弄るのは実に楽しい。



奴の選対事務所の秘書扱いが堅苦しい挨拶で始まる食事。
集まった馴染みの連中と言えば、
「いっその事、お前も事務所に入れよ!」
と言いたくなるような熱い者もいれば
私のように「出来ることしかできんぞ」という薄い者まで。

私自身の今後の展開には、こういう奴の存在は(結果が伴えば)不可欠。
逆に呼ばれたことに感謝すべきかもしれない。

この酒席がそういう話に終始していたなら、
私自身もドン引きになっていたかもしれない。

ただ、この場を仕切る秘書クンは乾杯の前後の20分程度で切り替えた。
実に清々しくもお洒落な仕切り。

そうなると逆に呼ばれた者からそういう話を持ち出し始める次第。

これが奴らの戦略なら見直さねばならんわけで。


ただそれを裏読みしてしまうのが私という偏屈な男。

誰かが、そういう話をぶり返すその度に
「奴らはそれを待っているんだろう」と裏読みしてしまう私は


再び話を逸らすようなチャチャを入れる。




皆の呂律が怪しくなり始めたころ
恐ろしいほどのタイミングで店員がワインを持っていた。

「○○様からの差し入れです。」
それもその主からのメッセージカードを添えて


「絶対ウソだね!」
「んなわけないじゃん!」
「やらせだろ?」

メッセージカードを見ればかなりの大物代議士なわけで
それも自筆のサインらしきものまで。

あまりに美しすぎるぜNIPPON!


「えっ!こんな演出でオレらをその気にしようとしてんの?」

「じゃあさ~、お礼言わなきゃいかんだろ~よ!」
「電話しよ~ゼ!」
「ありがとねって。」
「おれが言ってやる。」

と、全否定でツッコミを入れるのは私しかいないわけで。

秘書クンが一つ一つのツッコミに丁寧に応対。


確かに話に矛盾も無い(ように思える…ように思えてきた。)


「もう勘弁してくださいよ」と、秘書クン。


座りなおし、半泣きの潤んだ純粋な瞳の秘書クンに免じて

半分くらい信じてやろう!





初めてのことは実に面白い。少しだけワクワクしてる自分がいる。

今の私の脳内指数は当初から10倍の3%くらいにはなるだろう?



さあ総選挙モードです!

自分のために1票を使いましょう!