ずっと前から見たかった映画「信さん」をようやく見ることが
できた。九州では半年前ぐらいに封切りなっていたが、
こちらではなかなか上映がされなかった。
映画館が数多くある大阪だけど、2ヶ所だけで上映されている。
そのうちの1ヶ所が我が家の近所にある映画館だったので
ラッキだった。映画の内容は昭和38年ごろの炭鉱町の
物語。貧困生活、長屋住宅、炭坑夫の労働環境などが
描かれている。そこ住む「信さん」という人物が小学生から
炭坑夫として働く17歳までぐらいの一生が描かれていた。
父親が亡くなったためにその父親の弟夫婦に育てられるが、
義父はじん肺を患い坑外作業員として働くが収入は少なく、
やがては海岸に落ちて死亡する。お葬式のシーンで義母を
演じる大竹しのぶの迫力ある演技は凄みがあり、炭鉱で暮す
女のすごさが伺われた。それから信さんは学校には殆んど
行かず働くはじめ、やがては炭鉱夫とし坑内作業員になる。
そして炭鉱の爆発事故で一生を終える。
信さんには好きな人がいた。信さんの友人の母親で
20歳上の女性。小雪が演じていた。貧困生活の中で
信さんとって唯一希望の光りだった。小雪の何ともいえない
優しさ、思いやりが大変に素敵に描かれていた。
炭鉱で育った私には懐かしくもあり、じん肺で苦しむ
シーンは父親を思い出し、大竹しのぶは母親を思い出し
涙なしでは見れなかった。
この映画は宣伝されることもなく大変に地味な作品だけど、
見た人にとっては印象深い映画になるのではと思った。
おも入れが深かかったので、心にぐっさりと刺さり暫らくは
この余韻は残りそう。