「ホタテ貝の彫刻に金箔を貼る」 | Classic to Modern デコラティブアート的造形と家具作家の日記

「ホタテ貝の彫刻に金箔を貼る」

彫刻のレッスンで額縁を完成させたら、次にホタテ貝のレリーフを彫ります。

 

この彫刻をギルディング(金箔を貼る)した生徒さんがいたので

その工程と仕上がりを紹介します。

 

まずは彫刻したホタテ貝にジェッソーを塗っていきます。

 

ジェッソーとはチョークの粉とニカワ(接着剤)を湯煎し

混ぜ合わせたもので、乾くとカチカチになります。

 

2ミリくらいの厚みになるまで丁寧に塗っていきます。

 

 

ジェッソーが乾いたら目の細かいサンディングペーパーで

すべすべになるまで研磨します。

 

研磨が終わるとこんな感じになります。

表面がスムースになりました。

 

ジェッソーで彫刻のディテールが失われないように研磨することが重要です。

 

良く磨かれた金属の質感を表現するためには、この工程をいかに丁寧に

終わらせるかで、後の仕上がりが変わってきます。

 

この後黄色の「ボール」を塗っていきます。

 

「ボール」とはクレイ(粘土)の粉をニカワで湯煎したもので

後で貼る金箔の発色を良くするために塗ります。

 

ボールを湯煎しているところです。

 

塗っていきます。

 

黄色のボールに続いて、赤いボールを彫刻の高い部分に塗ります。

 

これはハイライトと言って、高い部分に赤いボールを塗る事で

金箔を貼った時にその部分の発色を良くします。

 

そうする事で、彫刻の立体感を強調できます。

 

女性がお化粧する時に、鼻筋や頬骨の辺りを強調して、顔を立体的に

見せるのと同じ事です。

 

 

ボールを塗って乾いたらいよいよ金箔を貼ります。

今回は水貼りです。

 

ニカワを水で薄く溶かしたもので、金箔を貼りました。

 

 

まだ金箔が浮いているところがたくさんありますが、彫刻全体が金箔で

覆われました。

 

 

この後金箔のシワをメノウの石でこすってなめします。

 

なめし終わるとツルツルの金の塊のような質感に変わります。

 

とても良く出来ています。

 

 

これで完成なのですが、生徒さんがアンティーク風の仕上げをしてみたかったので、金箔の表面を軽く研磨して、下地のボールが透けるようにしました。

 

 

 

金箔で仕上げてあるアンティークの額縁などを見てみると、こんな風に

赤いボールが透けているのを見た事がある人もいるかもしれません。

 

これは長年使い込んで金箔がかすれてきた風合いを表現しています。

 

木そのものの木目や質感を楽しむ彫刻もいいですが、金箔仕上げも

また別の美しさがありますね。

 

最近は作品をギルディングしたい生徒さんも増えてきました。

 

日本では珍しい西洋の伝統技術なので、他の生徒さんが作品を完成されたら

また紹介しようと思います。