アメリカの双子の赤字がもたらす世界同時株安
世界同時株安に揺すぶられています。
欧州は、金融機関の不良債の処理の先送りをし‥・
アメリカは財政赤字と経常赤字の削減方法について明確なビジョンをもっていない。。。
アメリカは財政赤字と経常赤字の削減方法について明確なビジョンをもっていない。。。
それに、アジア勢は、アメリカの双子の赤字が持続可能なものでないことは分かりつつも、
アメリカの過剰消費体質のお陰で成長を維持しているとも言えます。
※双子の赤字:貿易赤字(経常赤字)と財政赤字が並存していた状態を指す。
何故、株価が下げたのか? 米国債を格下げしたから?
今後、アメリカが今後、歳出削減に取り組むこととなれば、その分GDPを押し下げる圧力がかかるので、
景気の先行きに関し明るい希望が持てないということがあります。
株価は、投資家の感情が反映されるんです。「これから景気が良くなりそうだ」と思えば、投資をしますから株価は上がります。
逆に、「先行き不透明だ・・・」となれば、投資を控え、万が一に備えて、現金を手元に残そうとしますよね。
そして、現在のような政治のねじれ現象が続けば、今後も何がどうなるか予想が付かず‥・
このように、先行きが不透明だから投資家が不安になっているのです。
というわけで、株価が下げている最大の理由は、
「アメリカが少しばかり本気で財政再建に取り組もうとしたことがきっかけ」
になっているのです。
だったら、財政再建を先送りすればいいのか? それも大変難しい。
ここで歴史を振り返ってみましょう。世界経済のためには、
日本人が日本のことだけを考えると、
今の円は強過ぎると考えてしまう訳ですが‥、でもアメリカの立場に立つとどうでしょう?
今の円は強過ぎると考えてしまう訳ですが‥、でもアメリカの立場に立つとどうでしょう?
アメリカ人には、どんな風に世の中が見えるでしょうか?
当然のことながら、円は安いし、人民元はとんでもない位に安い!
なぜなら、理由の一つとして挙げられるのは、輸出入が一方的であり過ぎるから・・・
図をご覧頂くとわかるように、
アメリカの貿易収支は、過去20年間基本的に貿易赤字。
そしてその貿易赤字は年々拡大し続けており、
1991年の-667億ドル(-6兆円)から2006年の-8,280億ドル(-74.5兆円)へと、
約12倍にまで拡大しています。
全世界のGDP(5,200兆円)に対し、アメリカのGDPはその約25%(1,300兆円)を占めているんです。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/03.htm#h3-01
(総務省:統計局より)
その約70%(910兆円)を、個人消費が占めると・・・
つまり、
全世界GDP(5,200兆円)×18%(=25%×70%)
=アメリカ国民の個人消費(910兆円)
平たく言えば、アメリカ国民の旺盛な個人消費が、全世界の付加価値創出の2割を支えているということになります。
すなわち、アメリカ国民が(日本・中国を含め)世界中からモノやサービスを買うことで、
すなわち、アメリカ国民が(日本・中国を含め)世界中からモノやサービスを買うことで、
世界の経済成長を支えているわけす。
よって、アメリカの貿易赤字は拡大し続けてきたと考えられます。
今後も、アメリカが経常赤字や財政赤字を気にしなくてもいいのであれば、景気を支えるために財政出動をしてもいい訳です。
しかし、財政赤字はこれ以上増やさないと決めました。
そして、赤字を増やさない、或いは海外からの借金を増やさないということは、
それはとりもなおさず、輸出と輸入をバランスさせることを意味しているのです。
そこで考えられるのが昔ありました・・・
プラザ合意です。
今回もプラザ合意のようなものが本当は必要だという声が上がっています。
円だけに対してではなく、特に中国との関係でドル安にすることが望ましい、と。
そうなれば、幾ら歳出を抑え込んでも、ドル安を利用して輸出を増やすことが期待できるということです。
けれども、中国がイエスとは言わないでしょう。
ということは、当分は米国経済について弱気の見通しが支配するということなのです。
日本が震災復興によって実需を伸ばすしかありません。
農林水産業とか製造業関係の人はそれをわかっていると思います。
年金からや増税をして復興財源を引き出すのは全くもって無責任です。
結局、日本の財政赤字は危機的状況というこれまで財務省と日銀がとってきた前提が間違っていることを認めないと先には進めないのです。
デフレで超低金利の状況では、たとえGDP比200%超でも政府債務は発散しません。
国債利子支払いは世界一低い。
政府が支出を拡大しない限り経済は回復しないのです。
これらを認めないことには日本は泥沼から抜け出せません。
財政赤字で国民を脅して増税しようという財務省の戦略は、
今回を機に完全に破綻させなければいけないのです。
国会議員も「政治主導」を標榜するのなら、財政に関して財務省と日銀のデタラメな説明を論破するくらいの力を身につけて、政治の責任で財政規模を拡大させてください。
まあこの財務省や小泉政権や民主党のとってきた歳出規模縮小の戦略というのは、
「日本の歳出規模を縮小させる→日本の預金が余る→米国や欧州の財政赤字をファイナンスする」
という流れなんですよね。
これが震災によって破綻したのです。ですからおそらく欧州の国債危機は加速するでしょう。
米国で共和党がとうてい無理な緊縮財政の計画を提出したのも日本からのファイナンスを諦めたからなのではないでしょうか。
アメリカのTPPの策略も輸出と輸入をバランスさせることを目的としています。
アメリカは二つの赤字が止まらない。経常赤字と財政赤字。