second scene67
「いや、失言だ。悪かった」
まさか、篠塚は北沢と瞬が親密な関係であると誤解しているのだろうか。だからバスに乗るといっても理由を訊いてこなかったのか。
「北沢さんは、おなじ道場の門弟というだけで」
「わかってる」
「篠塚さん」
「すこし落ち着け」
「ぼくは落ち着いています」
「北沢になにか言われたのか」
否定できなかった。確かに冷静ではない。北沢に関わるほど篠塚への不安がましてくる。北沢は意図的に瞬を追い込んでいるのではないかとさえ考えてしまう。
「帰ります」
腰をうかせたが、篠塚の「まだ話は終わっていない」と、いう言葉に渋々座りなおす。
「うちの専務である三木原のことなんだが」
「黒岩さんをヘッドハンティングした」
「ああ。アプリコット社の株を買いあさっているらしい」
「どういうことですか」
篠塚が沈黙して肩で息をついた。瞬が身をのりだし「篠塚さん」と、声をかける。
「黒岩と三木原の関係が気になる。黒岩は三木原に自分を売り込む材料としてなんらかの手土産を用意していたのかも知れない」
「アプリコット社の機密に関する何かってことですか」
「断定はできないが」
「………」
「話はこれだけだ。これは貴子からの情報だ。すべてを信用するのは危険だが、話の筋は読めてきた気がする」
「どう読めてきたんですか」
「おまえ、北沢の秘書になる気は」
今度は瞬が押し黙った。ようするにアプリコット社の社員になる人間には言えないということだろう。しごく自尊心を傷つけられた気分だった。
「本気で訊いているんですか」
まさか、篠塚は北沢と瞬が親密な関係であると誤解しているのだろうか。だからバスに乗るといっても理由を訊いてこなかったのか。
「北沢さんは、おなじ道場の門弟というだけで」
「わかってる」
「篠塚さん」
「すこし落ち着け」
「ぼくは落ち着いています」
「北沢になにか言われたのか」
否定できなかった。確かに冷静ではない。北沢に関わるほど篠塚への不安がましてくる。北沢は意図的に瞬を追い込んでいるのではないかとさえ考えてしまう。
「帰ります」
腰をうかせたが、篠塚の「まだ話は終わっていない」と、いう言葉に渋々座りなおす。
「うちの専務である三木原のことなんだが」
「黒岩さんをヘッドハンティングした」
「ああ。アプリコット社の株を買いあさっているらしい」
「どういうことですか」
篠塚が沈黙して肩で息をついた。瞬が身をのりだし「篠塚さん」と、声をかける。
「黒岩と三木原の関係が気になる。黒岩は三木原に自分を売り込む材料としてなんらかの手土産を用意していたのかも知れない」
「アプリコット社の機密に関する何かってことですか」
「断定はできないが」
「………」
「話はこれだけだ。これは貴子からの情報だ。すべてを信用するのは危険だが、話の筋は読めてきた気がする」
「どう読めてきたんですか」
「おまえ、北沢の秘書になる気は」
今度は瞬が押し黙った。ようするにアプリコット社の社員になる人間には言えないということだろう。しごく自尊心を傷つけられた気分だった。
「本気で訊いているんですか」
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