元高校用務員の告発。生徒の命を預かる学校が、なぜ危険を避けるための情報を隠すのか。 | Miraie for Children

元高校用務員の告発。生徒の命を預かる学校が、なぜ危険を避けるための情報を隠すのか。

『公表されなかった「福島県立相馬東高等学校」の放射線量計測値』

5月19日の教職員部会時に、福島県相馬東高校の用務員を定年退職なさったA氏が参加されて、以下のような発言をしていました。


・高圧洗浄機による校地内の除染活動をしてきた。学校はHPで測定結果を除染前後とも公表。しかし学校が公開している測定値と異なる高い数値を、自らの測定で得ている。生徒たちや保護者に知らせたいと、情報公開とさらなる計測を直属の上司、事務長に願ったが却下された。
・何度か願い出ても却下されるので、学校として公開しないなら個人でWebで公開する話をすると、パワハラめいた対応をされるようになった。→「あなたには仕事を任せられない」など。
・退職ギリギリまで待っても公開されていなかった。4月にTwitterでツイートしたが、目に留まらなかったのか、反響がなかった。
・生徒の命を預かる学校が、なぜ危険を避けるための情報を隠すのか。憤慨している。


私達、「放射線被曝から子どもを守る会」としましても、Aさんのお手伝いをしたいと考えました。Aさんの思いとしては、どこかで公表したいと思う一方、最後まで学校に善処して欲しかったというのが本音。仁義なき内部告発ではなく、回答を待っていたけど無視されてここに至ったようです。この種の問題が起こる度に浮き彫りになるのは「隠せるものなら隠し通したい」という学校の考え方です。
困ったものだと思います。

この、ブログを見た方は、どうか、相馬東高校の生徒さんに学校の屋上にホットスポットがあることを教えてあげてください。

以下、A氏からのメッセージと資料です。


福島県の相馬東高校の元用務員、Aさんのメッセージ



公表されない放射線量計測値

福島県立相馬東高等学校の空中放射線量の実際について

最近、「放射線被曝から子どもを守る会」のWebサイトを見て、その宮城県教職員部会に初めて参加してみました。(5月19日) 福島県の相馬東高校(以下「本校」と略)の用務員を、今年3月いっぱいで定年退職した者です。

それまで私が勤務していた当校のHP(ホームページ)には、おおよそ2ヶ月に一回、校内の放射線量が公開されています。(http://www.somahigashi-h.fks.ed.jp/pdf/hogosya/hogosya-no1.pdf )そのデータでは、学校内での放射線量は0.09~0.5μSV/時と、比較的低い計測数値になっています。
 
昨年度、私は、校内の空中放射線量の測定と高圧洗浄機を使った除染作業を何度もしてきました。私の測定は、学校HPで公表されているものとは別個にしたものです。その場所は、学校HPに公表されている測定地点とは違った場所も多くあるのですが、その中でも、校舎屋上に多数ある雨樋の入水口に、高い放射線量のホットスポットが点在していました。(最大で10μSV/時)こちらのデータは公開されていません。この数値の放射線量が、将来、生徒達に、どれほどの健康被害を及ぼすものであるかを、私は知り得ませんが、少なくとも正しい情報の公開だけはすべきと思いました。

雨水が入り込む雨樋口の周りにはヘドロが溜まっていました。その校舎屋上も、私ともう一人の用務員の二人で、高圧洗浄機を使った除染を何度か行ってきました。除染し終えた水も、そして流されたヘドロも、雨水も、入水口からパイプを伝って地下の貯溜槽に一時的に溜め置かれます。本校では、そこからの水がトイレ洗浄水として利用さています。貯溜槽の底に堆積しているヘドロには、すでに放射性物質も堆積している可能性もあります。(全く含まれていないか? あるいは、わずか数ベクレルかもしれないし? あるいはさらに、数十万ベクレルかもしれない?)・・・他にも、生徒達が昼食時間等にくつろぐ露天のウッドデッキ部分にも、比較的高いホットスポットがありました。

昨年7月以降、校内各地点を計測の度に、そのデータを私の直属の上司である事務長に報告し、かつ、「こちらのデータも『学校組織からの情報』として、正しい情報の公開をしていただきたい」と、何度もお願いをしてきました。・・・・「日本の未来を担うであろう生徒達の『命』、そして『健康被害』にも、将来に渡って大きく関わる可能性もある問題だから」と・・・・・。しかし、その情報は未だ公開されておらず、生徒達や父兄、教員にさえ、知らされていません。

放射能汚染は、ウィルスや細菌の感染と同様、目には見えず、臭いもせず、熱くもなく、冷たくもなく、正しい情報の公開が遅れれば遅れるほど、その汚染被害は、透明人間のように密かに、そして、より多くの人々へと大きく広がってしまいます。情報の公開が遅れれば遅れるほど人々の間には疑心暗鬼が広がり、風評被害も、より大きく広がってしまいます。それらを防ぐ第一歩目の手段は、より正しい情報を、より早く公開することだと、今度の福島原発事故後の様々な出来事から痛切に思い知らされましたし、今回、「放射線被爆から子どもを守る会・宮城県教職員部会」に出席して話し合いをすることで、その思いは、より強くなりました。
 
未だ公開されていない、私が知り得た学校の放射線量測定データを、まずは、このサイトで公開します。(私のパソコン知識は、つたないもので、ホームページやブログを作る方法とかさえも知らないのですが、部会に参加した人の協力を得て、公開できそうです。)

たくさんの方からのコメントや助言、ご批判をお待ちしています。




Aさんが作成した資料の表紙



相馬東高校 空気中・放射線量 計測値


  2011年7月6日~2012年1月26日


      ● 計測数値の単位は、全て、μSV/時 (1時間当たりのマイクロシーベルト)





Aさんが作成した資料の目次



相馬東高校 空中放射線量計測値 目次

計測場所、及び計測日 頁
(1)計測結果 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(2)敷地内・土面上(地表10㎝)・空中放射線量(計測日:2011年7月6日)・・・・・・・・・・ 3
 同上・敷地図面(測定地点番号(スポットNo.)表示)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(3)校舎1階周り 空中放射線量(計測日:2011年 8月18日、8月31日)・・・・・・・・・・ 5
   校舎1階・図面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
(4)校舎2階 板デッキテラス面上 空中放射線量(計測日:同上)・・・・・・・・・・・・・・・ 7
   校舎2階・図面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
(5)校舎トイレ内 空中放射線量(計測日:2011年8月19日)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
   校舎トイレ図面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
(6)雨水貯留槽上のデッキテラス 空中放射線量
(計測日:2011年 9月2日、10月17日、11月29日)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
雨水貯留槽・図面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
(7)屋上・空中放射線量(ホットスポット多し。)
  (計測日:2011年8月18日、9月1日、11月29日、2012年1月24日)・・・・・・・・・・・・・・ 14
屋上・図面 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
(8)陥没補修に校舎周りに敷設した砂利面の空中放射線量計測日:2012年1月26日) 18
(9)校舎北土手斜面の養生用ブルーシート面上 空中放射線量
(計測日:2012年1月26日)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
(10)相馬東高校ホームページに掲載されている校舎内放射線量
(計測日:2011年8月29日、9月29日、11月29日 2012年1月5日)・・・・・・・・・・・・・・ 19





Aさんが作成した資料の2ページ


(1)計測結果(2011年7月6日~2012年1月26日) まとめ

● 詳細な計測値は、以下のページに掲載していますが、それぞれの計測地点には、 【スポット番号】として番号を付し、それは、添付した校舎図面に表記された番号と符合させています。

● 校舎屋内では、【0.09~0.5μSV/時】 と、比較的低い値でした。
    (→ P.19 : 相馬東高校 ホームページ掲示の「空中の放射線量」測定値表)
ただし、屋内にある、露天のワークテラス、板デッキテラスでは、線量が、2.2μSV/時や、3.4μSV/時と、けっこう高い数値を示すスポットもありました。(→ P.7 参照)

さらに、
屋上では、かなり高い数値のホットスポットが点在し、その大部分が、屋上での雨水が集まる、雨水の入水口です。 いくつかあるその中で、屋上の除染作業(2011年8~10月)をする以前に計測した時の最大値は、10.0μSV/時 もありました。(→P.16 スポットNo.121) 
 除染作業の約一ヶ月後(11月18日)の計測では、このスポットの計測値は 0.7μSV/時に低下していますが、同日の計測でも、まだ 2.36μSV/時のスポットも残っていました。 (→ P.15 スポットNo.117)

ここで懸念される事は、屋上の、放射線量値の高い、ホットスポットの雨水入水口から、雨水が、校内のパイプを流れ、雨水貯留槽を経て、トイレの洗浄水として利用されている事です。雨水貯留槽の底部にはヘドロが沈殿しているので、このヘドロ、及び、貯留されている雨水に放射性物質が入り込んでいる可能性があります。

●本校には、空気中の放射線量を計測する計器はありますが、ヘドロや貯留した雨水、及び、トイレに流入した雨水を、直接に計測する計器は無いので、未だ計測はしていません。従って、正確なところは解っていません。早めに、正確な放射性物質の量を計測する手段を講ずべきと思われます。
  なお、校舎内トイレの空中での放射線量に関しては計測していますが、0.1~0.48μSV/時と、比較的低い値でした。 (→ 2011年8月19に計測)(→P.8 スポットNo. 59~No.102)




3ページ以降、詳細データはエクセル。図面はJPGファイルのデータは、表示していません。ダウンロードして確認してください。

また、以下のURLにアクセスすると資料の全てをダウンロードできます。

資料のダウンロード