遺稿‘戦艦武蔵の最後、そして奇跡の生還(その9)’「コレヒドール島へ」 | こばやし★あきら

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『明日は‘マニラ’だ。


‘武蔵沈没の機密保持’の為‘コレヒドール島’に移送される。久しぶりの‘陸上’だ。


‘マッカーサー’が比島から「また来る。」と言って去って行った飛行場もある。


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‘オランダ人捕虜’が港の使役に付いていた。


山を登った一番高い所にある‘米軍の兵舎’だった建物に入る事になった。


此処は‘日本軍’がフィリッピンに上陸したときに‘コレヒドール’に米軍、対岸に日本軍と毎日砲撃戦が展開されたので兵舎も破壊されて半分くらいしか使えなかった。


「何日か、何カ月居る事になるのか。」


なんとか中を片づけて雨露をしのげるようになった。


毎日‘板子一枚下はあの世の世界’の海上生活から沈まない陸の上で安心感がまた別だ。


「食べたい。」


あの戦闘から4日目。


食事らしい食事はしていない。

食事の時間が待ち遠しい。


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話によると比島の‘在留日本人’はほとんど‘米のめし’を食わず我々の方に回しているようだ。


「ありがとう!」


船に居る時は充分食べていたが陸はそういうわけにはいかない。

大体3分の1位の量しかない。


何時も空腹感であった。


だんだん島の生活に慣れてくると‘やまいも’、そして海に行って‘タコ’を捕って食べた。


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‘鉄カブト’で海水で程良い塩味、本当に旨い。


このような具合で空腹を満たす。


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頭の毛の中の重油が段々固まってきて‘鉄カブト’をかぶって居る様な感じでやりきれない。



石鹸も無い。



体全部に油が付着しているので南の強い日に照らされ全部皮がむけてしまった。』


今日はこの辺で。

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*文中で使用した写真はイメージです。

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