相続放棄のよくある質問(相続放棄しても無くならない権利について) | みらい日記―宇治の司法書士のBLOG―

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相続放棄の効果は,乱暴な言い方をすると,「最初から相続人じゃなかったことになる。」です。被相続人の権利はもちろん,義務も一切引き継ぎません。ただし「相続人としては」です。

 

「相続人としては」とは何ぞや?相続人ではないけど発生する権利や義務ってなんでしょう?

 

相続人では無いけど,権利があるケースとして代表的なものは遺族年金の受給資格です。

遺族年金は相続財産ではなく,遺族に直接権利が発生するものですから,相続放棄しても受給できます。相続放棄をしたら年金が受け取れなくなるのではないか?と心配する方が居ますが,安心してください。

 

死亡保険金も「相続人」ではなく「受取人」に権利が発生するものならばOKです。ただし,全ての死亡保険金が相続財産にあたらないとは限りません。「死亡解約返戻金」と称される場合は相続財産にあたる場合が多いようです。このあたりは保険会社に要確認ですね。気を付けなくてはいけないのは,被相続人が亡くなった後に口座振替等で支払った保険料の還付金です。これは相続財産ですから,受け取ると相続放棄の効果はなくなってしまいます。保険会社に「相続放棄をした。」旨をきちんと伝えておかないと,死亡保険金も死亡解約返戻金も還付金まとめて手続してしまいますから気を付けましょう。

尚,「民法上は相続財産ではないけど税法上は相続財産」みたいなこともあります。相続税の申告が必要な場合もありますので,詳しく知りたい方は専門家にご相談ください。

 

死亡退職金も相続財産にあたらない場合があります。これは被相続人の勤務先の規定次第ですので,勤務先の職務規定を確認ですね。

 

労災の給付金は相続財産にあたるものと遺族に直接権利が発生するものと両方あります。被相続人の休業補償の性質を持つものは相続財産になり,遺族への補償となるものは相続財産とならないのが基本のようですね。

 

相続放棄をしても,常識的な範囲であれば形見分けをしても大丈夫です。これは法律の条文で明確に定めがあるわけではありませんが,過去の判例は概ね「常識的な範囲ならOK」という穏当なものです。形見分けの品が数十万円するような高額な品だったり,形見分けというには多すぎる物品を持ち出さなければ問題はないでしょう。

 

 

逆に,相続人ではないけど義務がある場合ってどんなケースでしょう?

良くあるのは保証人です。相続人として債務は引き継いでいないけど,保証人として支払い義務がある,という場合ですね。単純な借金の保証人ではなく,賃貸住宅の保証人となっていて退去後の現状回復費用や未払いの賃料を負担しなくてはいけないことはあります。

直接保証人となっていなくとも,「実は保証人の地位を相続していた。」ということは結構あります。「え?相続放棄したのに保証人の地位を相続するってどういうことよ?」とお思いでしょう。よくあるケースは亡くなった方(被相続人)が兄弟姉妹で,それより前に亡くなった父母が被相続人の保証人になっていた場合です。兄弟姉妹の相続放棄をしても,父母からの相続はそれより前にしてますからね。亡くなった兄弟姉妹の相続放棄はしたけど,父母の保証人の地位を相続していたってことです。

 

他には義務というべきかは微妙ですが,相続放棄をしても祭祀承継はできます。祭祀承継っていうと何だ?と思うかたも居るでしょう。要はお弔いをするということです。遺族として亡くなった方の供養をするのは権利であり義務ともいえますよね。墓地・墓石,仏壇・位牌などは相続財産ではなく祭祀財産として遺族が引き継げますので,相続放棄をしたらお墓にお骨を収められないのでは?などという心配はいりません。

 

(令和3年7月13日加筆修正)

 

 

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