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【高橋昌之のとっておき】朝日・毎日への反論(12) 衆院選与党圧勝を素直に受け入れよ 低投票率は有権者に責任がある  


衆院選は、与党が議席の3分の2以上となる325議席を獲得し、圧勝しました。

この結果については社説で、産経新聞が「安倍路線継続への支持だ」、読売新聞が「重い信任を政策遂行に生かせ」と安倍晋三政権は有権者の信任を得たとの評価を示しました。


これに対し、朝日新聞は見出しにしなかったものの、「決して『何でもできる』力を得たことにはならない」、毎日新聞は「『冷めた信任』を自覚せよ」と、信任を得たわけではないと逆の見解を示しました。


 安倍政権発足以来のスタンスの違いがそのまま出ているわけですが、選挙結果を率直に認めない朝日、毎日の主張には納得がいきませんので、反論したいと思います。


両紙が共通してその根拠にしているのは、(1)52.66%という戦後最低の投票率(2)争点がぼかされた(3)野党が選択肢を示せなかった-の3点です。


 まず、投票率ですが、朝日は17日付の社説でも「低投票率 民主政治の危険水域」との見出しで、「あまりに投票率が低ければ、議会が民意を正当に代表しているのかどうかに疑問符がつく」とし、「まず問われるべきは政治の責任だ」と指摘しました。


 各紙とも読者を気にしてか、ずばり言いませんが、私は「戦後最低の投票率の責任はすべて有権者にある」と考えます。


現代日本社会では有権者に等しく選挙権が与えられています。これを獲得するために、先達らが時には命をかけてどれほど努力してきたか、理解していない有権者が多すぎます。


 その極めて重要な権利を物理的な理由なく行使しなかった人は、権利を放棄したといえます。


つまり、選挙結果について「白紙委任した」ということになるわけです。

政治情勢がどうあろうが、選挙の時期がいつであろうが、投票に行かない有権者が悪いのであって、だからこそ、私は産経の紙面やこのコラムで「投票に行かない人に選挙後、政治を語る資格はない。だからこそ、投票に行きましょう」と何度も訴えてきました。


そう考えれば、投票に行った有権者の意思が反映された選挙結果は、そのまま民意として受け止めるべきであって、朝日が言うような「政権の正当性への疑問」は生じません。


 次に争点の問題です。朝日、毎日は安倍首相が経済政策アベノミクスを争点として強調したことで、「争点がぼかされた」と主張していますが、政党、候補者が選挙で何をどう訴えようが自由です。

しかし、各マスコミは選挙期間中、報道や討論会、インタビューなどを通じて、アベノミクスだけではなく、集団的自衛権の行使や原発再稼働の是非などさまざまな問題を、さんざん争点として取り上げ、分かりやすく解説したではありませんか。

それをどう受け止めるかは、やはり有権者の問題です。


 私は日本ほど政治のニュースが豊富に伝えられている国はないと思っているので、有権者が政治をあるべき姿にしたいと思うなら、しっかり政治を勉強すべきだと思います。


「争点が見えなかった」などという有権者がいたとすれば、その人の勉強不足に他なりません。

権利はむやみやたらに与えられているわけではなく、正当に行使するにはそれに見合うだけの姿勢と努力が必要なのです。


 第3の「野党が選択肢を示せなかった」という点も、有権者に責任があります。


野党の勢力がどうあろうと、アベノミクスや集団的自衛権の行使、原発再稼働などに反対なら、そう主張した政党はあったわけですから、そこに投票すればよかっただけの話です。


 朝日、毎日は示し合わせたかのように、16日付の社説で民主党敗北をテーマに取り上げ、安倍政権を批判しながらも対案を示せなかったことを問題点として指摘しました。

両紙は自民党に対抗できるのは民主党だけだと思って、あえて今回の選挙結果を民主党に押しつけ、その再起に期待しているのかもしれませんが、民主党がもはや対案を示せない政党であることは、すでにはっきりしているではありませんか。


 議員もそうですが、支持団体の連合も官公労と民間労組という全く主張が異なる組織を抱えています。これでは国家のありようにかかわる重要問題で、党の意見をひとつにまとめることなど不可能です。


 私はそもそも、朝日、毎日が民主党に対案の提示を求める資格はないと思います。


というのは、両紙は安倍政権発足以来、その政策をほとんど批判してきましたが、読者が納得するだけの対案を示しているとは思えないからです。

私が何度もこの「朝日・毎日への反論」シリーズで書いてきたように、自らも従来の主張にひきずられているだけで、現実を踏まえた論理的な対案を示せていないのが現状です。


 それに比べると、共産党は主張が現実的かどうかは別として、対案をきちんと示しました。

今回の衆院選で議席を増やしたのはそれが要因でしょう。朝日、毎日も少しは共産党を見習うか、あるいはその主張に同意するなら民主党ではなく、共産党支持を打ち出したらいかがでしょうか。


 以上、安倍政権が衆院選で「信任された」という理由を述べてきましたが、政界では今、民主党の代表選が次の焦点となっていますので、これに対する私の見解を述べたいと思います。


 民主党はもはやこれまでの構造のままで再生を図ることは不可能です。長期的な視野に立って、さらに野党全体のあり方を踏まえて、解党も視野に入れて出発するという代表選にすべきだと思います。

間違っても党の存続とか、議員の自己保身とかに走ってはいけません。さらに国民から見捨てられるだけです。


 党内の保守系と革新・リベラル系の理念・政策の違いははっきりしているわけですから、分裂すべきだと私は考えます。

一方、昭和62年の労働界統一で発足した連合も、労働運動的、政治運動的に統一が失敗に終わったことは明らかなのですから、民間労組と官公労に分裂し、民間労組は保守系、官公労は革新・リベラル系の支持団体になればいいと思います。


 そのうえで、保守系は維新の党をはじめ理念・政策で一致できる野党各党、議員と勢力を結集する。

そして、外交・安全保障など国民的合意が必要な国の根幹政策については自民党と同じ土俵に立ち、経済や社会保障など個別政策で自民党に協力すべきは協力し、改善すべきは修正を求めていくという「改革保守」の旗を掲げてほしいと思います。

民間労組すなわち国民の多くを占めるサラリーマンの意思を反映させる政党が国会に誕生してほしいものです。


 また、憲法も改正が必要だということは一致できるはずなので、96条の発議要件の緩和を実現して憲法を国民の手に取り戻し、そのうえで具体的にどのように改正するかで自民党と競い合ったらいいと思います。


 一方、革新・リベラル系は主張が近い社民党や生活の党などと合流すればいいでしょう。


場合によっては共産党も巻き込んで一致できるなら合流したらどうでしょうか。

今回の衆院選の与党圧勝で、有権者の保守志向は明らかになりましたが、国民の中には革新・リベラル的思想の方もいるでしょうから、受け皿は必要です。


 自民党と公明党、改革保守の野党、革新・リベラルの野党。政界がこの3極に分かれるのが自然な流れだと思いますし、国民・有権者にとっても一番分かりやすい姿ではないでしょうか。(長野支局長 高橋昌之)