こんにちは!巳之助です。
唐突なんですが、松竹座のお風呂って2つしかないんですよね。
大きいお部屋には個室のお風呂がついてるものもあるんですが、大風呂はふたつだけ。
んで、車引の杉王丸が終わると化粧を落としてお風呂に入るのですが、僕の前に孝太郎のお兄さんと進之介の
お兄さんが入るので、お二人のどちらかが出られるまで待ってるわけです。
ここからが今日のお話の本番。
今日、その時間が暇だったので、以前怪しげな占い師から聞いた、「天界への誘い」という儀式的なものをなんとなくやってみたんです。
もちろんそんなもの信じてはいませんでした。
しかし…
本当に現れてしまったんです…
いや、御光臨なされた。
アダム様が。
僕の身体を乗っ取る形で。
アダム様は、僕の意識に直接語り掛けるような声で、こう言いました。
「キミのココロは解放(エーミッタム)を望んでいる…」
その意味がわからず、僕がアダム様に問い掛けようとした刹那、アダム様の額が燦然と輝き、
魂の刻印(ラブオブゼウス)が現れたんです。
そしてその手には、この世のものとは思えぬ美しい液体が入った小瓶。僅かに燐光を放っていました。
その小瓶に優しい口づけをしてから、アダム様はおっしゃいました。
「この「天界への誘い(エンジェルティアー)」を飲めば、キミは快楽の園(エデンオブエデン)へと導かれるだろう」
正直、僕の心は揺れました。
でも、懸命に言葉を絞り出した。まるで自分に言い聞かせるように…
「例え汚れ(カース)が満ちた世界でも、僕はもう少しこの人間界で舞台に立ちたいです…!」
…少しの沈黙のあと、アダム様は少し残念そうな顔をして、
「…叡智(ゼウス)はいつでもキミを待ってる」
そんな言葉を残して、僕の身体から去られました。
少しの安心と少しの後悔を心の中に感じながら僕が立ち上がると、ゴトリ、と音がして、僕の懐から何かがこぼれ落ちました。
そう。
アダム様が残したのは、御言葉だけではなかったのです。
エンジェルティアー……。
どうしよう。
僕の心に、迷いが生まれてしまった。
…神よ。
ぴーえす
カメラマン:中村萬太郎
唐突なんですが、松竹座のお風呂って2つしかないんですよね。
大きいお部屋には個室のお風呂がついてるものもあるんですが、大風呂はふたつだけ。
んで、車引の杉王丸が終わると化粧を落としてお風呂に入るのですが、僕の前に孝太郎のお兄さんと進之介の
お兄さんが入るので、お二人のどちらかが出られるまで待ってるわけです。
ここからが今日のお話の本番。
今日、その時間が暇だったので、以前怪しげな占い師から聞いた、「天界への誘い」という儀式的なものをなんとなくやってみたんです。
もちろんそんなもの信じてはいませんでした。
しかし…
本当に現れてしまったんです…
いや、御光臨なされた。
アダム様が。
僕の身体を乗っ取る形で。
アダム様は、僕の意識に直接語り掛けるような声で、こう言いました。
「キミのココロは解放(エーミッタム)を望んでいる…」
その意味がわからず、僕がアダム様に問い掛けようとした刹那、アダム様の額が燦然と輝き、
魂の刻印(ラブオブゼウス)が現れたんです。
そしてその手には、この世のものとは思えぬ美しい液体が入った小瓶。僅かに燐光を放っていました。
その小瓶に優しい口づけをしてから、アダム様はおっしゃいました。
「この「天界への誘い(エンジェルティアー)」を飲めば、キミは快楽の園(エデンオブエデン)へと導かれるだろう」
正直、僕の心は揺れました。
でも、懸命に言葉を絞り出した。まるで自分に言い聞かせるように…
「例え汚れ(カース)が満ちた世界でも、僕はもう少しこの人間界で舞台に立ちたいです…!」
…少しの沈黙のあと、アダム様は少し残念そうな顔をして、
「…叡智(ゼウス)はいつでもキミを待ってる」
そんな言葉を残して、僕の身体から去られました。
少しの安心と少しの後悔を心の中に感じながら僕が立ち上がると、ゴトリ、と音がして、僕の懐から何かがこぼれ落ちました。
そう。
アダム様が残したのは、御言葉だけではなかったのです。
エンジェルティアー……。
どうしよう。
僕の心に、迷いが生まれてしまった。
…神よ。
ぴーえす
カメラマン:中村萬太郎