体脂肪率4.4%の公認会計士 國村 年のブログ

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香川県高松市で会計事務所(税理士・会計士)をやっている公認会計士・税理士です。●棚卸●事業承継●M&A・組織再編●贈与・相続のコンサルティングをしています。会計・税務に関することなら、お気軽にお問い合わせください。

ダイヤモンド・オンラインによると、東京地検特捜部は、先日、税務顧問契約を結ぶ法律事務所の弁護士34人から約8,700万円をだまし取ったとして、東京の税理士を逮捕しました。

税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件ですが、取材を進めたところ、被害に遭った法律事務所は国内有数の大手とみられ、さらに逮捕された税理士は有名作家の親族であることが明らかになりました。

東京地検特捜部は、先日、税理士(63)を詐欺容疑で逮捕しました。

税理士は2022年4月~11月、税務顧問契約を結んでいた法律事務所に所属する34人の弁護士から共済金の掛け金名目で約8,700万円をだまし取った疑いがあるそうです。

税理士が弁護士をだましたとされる異例の事件ですが、被害に遭ったのが少なくとも34人の弁護士が所属する法律事務所というから、それなりの大手の事務所ではないかと弁護士業界がざわつきました。

結論から言うと被害に遭ったのは「森・濱田松本法律事務所」(東京都千代田区)の弁護士たちとみられます。

この事件について、事情を知る人物が証言しています。

森・濱田松本といえば、「西村あさひ」「アンダーソン・毛利・友常」「長島・大野・常松」「TMI」と並ぶ五大事務所の一角で、週刊ダイヤモンド3月23日号の特集によれば、所属する弁護士数は754人で、西村あさひの832人に次ぐ2位です。

東大出身者がそのうち約半分を占めるという。スーパーエリートがだまされた背景には何があったのでしょうか?

前出事情通によれば、税理士は森・濱田松本の関連組織である「MHM税理士事務所」(千代田区)で顧問税理士の立場にありました。

その立場を利用して、多くの弁護士を信用させていたとみられます。

実際、MHM税理士事務所のウェブサイトのアーカイブを確認すると、2015年12月の時点で「所属税理士等」に「●●●● 顧問」としてこの税理士の名前が確認できます。

しかしながら、2023年1月の時点では名前が消えていました。

最後に顧問としての記載が確認できるのが2022年5月のアーカイブです。

この間、この税理士の名前が思わぬところで登場していました。

実は、東証スタンダードに上場する宝飾品大手「ナガホリ」(東京都台東区)の経営権を巡る騒動で、買い占め側の「リ・ジェネレーション」(東京都港区)が2022年4月14日に初めて提出した「大量保有報告書」には、ナガホリ株式115万株(6.87%)の取得資金4億2,500万円の原資が「合同会社STAND UP GROUP」(東京都港区、不動産業、以下SUG社)という会社から借入金であると記されています。

このSUG社の2人いる代表社員のうち1人がこの税理士です。

翌日の「変更報告書」でリ・ジェネ社の持ち株比率は9.96%に上昇し、取得金額合計も7億1,700万円となりましたが、引き続き原資全額がSUG社からの借り入れとなっています。

SUG社はナガホリ株に担保権を設定しておらず、実質的に無担保でリ・ジェネ社に融資していることになります。

ナガホリ側はリ・ジェネ社に対し、SUG社からの借入条件や同社の2人の代表社員などとの関係について質しています。

それに対し、リ・ジェネ社の回答は「借入条件等は守秘義務がある」(2022年4月22日付回答書)、この税理士などの代表2人についてはリ・ジェネ社代表と「ビジネス上の面識がある」(同年7月28日付回答書兼質問状兼要望書〈5〉)としながらも「貴社(ナガホリ)株式の共同取得に関する合意ないし指図等の類の事実は一切ございません」(同)などというものでした。

ナガホリとリ・ジェネ社の対立はいまも続いており、今年6月27日開催予定の定時株主総会に向けてリ・ジェネ社が出した剰余金処分に関する株主提案に対し、ナガホリ取締役会は反対を表明しています。

いずれにせよ、SUG社はリ・ジェネ社に気前良く7億円を超える融資を行っていた一方、税理士の懐具合に余裕はなかったとみられます。

この税理士は新宿区高田馬場で会計事務所を開業する傍ら、同じ所在地で医療コンサルティング会社を設立して代表を務めています。

ところが、医療コンサルティング会社には2016年以降、ノンバンクやファクタリング会社を譲受人とする「債権譲渡登記」がたびたび設定されてきました。

直近の登記は2024年5月です。

また、税理士の東京都小平市内の自宅の不動産登記を確認すると、土地は親族3人の共有となっており、そのうち税理士の持ち分には医療コンサルティング会社を債務者、ノンバンクを権利者とする年利10%の3億円の抵当権などが確認できます。

資金繰りに苦労していたことがうかがえます。

税理士の逮捕について、読売新聞は「弁護士からだまし取った金を自身の借金返済などに充てていたとみられる」と報じました。

なお、余談ですが、税理士の自宅の登記を確認すると、税理士が亡くなった作家から2002年に土地を相続したことがわかるようです。

どうやら、この作家の親族のようです。

 

税理士はMHM税理士事務所で数年間にわたって顧問を務め、「事務所の弁護士の給与計算をするほど信頼を得ていた」(前出事情通)ようです。

税理士の逮捕を受けて「日本税理士会連合会」は会長名で「正確な事実関係を把握しておりませんが、当該行為は、国民・納税者の皆様の税理士及び税理士制度に対する信頼を著しく損なうものであり、極めて遺憾であります」とのコメントを出しています。

ダイヤモンド・オンラインは、森・濱田松本法律事務所に対し、今回の件に関する質問を送付したようです。
<質問1>6月5日に税理士が詐欺容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。被害者の弁護士34名が所属していたのは貴法人との情報がありますが、事実ですか?
<質問2>税理士がMHM税理士事務所の顧問税理士だった期間はいつからいつまでですか?
<質問3>その就任経緯と退任理由をご教示ください
<質問4>税理士は貴法人所属弁護士の給与計算をしていたとの情報がありますが、事実ですか?

これらの質問に対し、森・濱田松本法律事務所からは「お問い合わせの件につき、恐れ入りますが当事務所からの回答は控えさせて頂きます」との回答があったようです。

 

超大手の弁護士事務所の弁護士からだまし取るなんて、ある意味スゴい人ですね。

どういう経緯で契約を結ぶようになったのか分かりませんが、こういう大きな事務所と契約を結べる税理士はごく一部だと思いますが、あえてそれを失うリスクを冒してまでやることだったのでしょうか?

こういう事件が、税理士の信用失墜に繋がらなければいいなぁと思います。

 

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