妄想テレメトリ・・・その25.6
第四会場へ移動。
人工衛星や探査機の製作・試験等が実際に行われている所です。
おぉ、第二会場で興味を持っていたPLANET-Cの実製作現場が見られるのか。
早速おじゃましま~す。
PLANET-Cの実物になります、コイツがあと1~2年で金星に行っちゃいます。
まだ太陽電池パドルは搭載されておらず、
断熱材にも覆われていないので完成はもうすこし先のようですね。
無事に金星まで届くよう応援しています。
次に、各種宇宙機 を試験するための検査設備ブースを見学・・・。
ココで意外な物を発見。
「1998年7月 M-5-3号機で打ち上げ 火星へ向け飛翔中・・・」
こいつは・・・火星探査機・PLANET-B
の試験機じゃあないか。
テフロンが巻かれた黒が主体の実物と違い、こいつは金色のアルミ箔だったりと色々違う部分はありますが、日本最初の惑星探査機として記録されているPLANET-B・のぞみのプロトタイプに間違いありません。
そもそも自分がこんな相模原に飽き足らず、種子島や内之浦 くんだりまで足を運ぶようになったのは、こいつからの影響もあったのです。
恐るべき旅路 新版―火星探査機「のぞみ」のたどった12年/松浦 晋也
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え~、夏休みの課題図書です。皆さん必須です。
とっても泣けるドキュメンタリー作品ですた。
さて、感慨も良しとして次行こう。
第五会場へ向かいます。
自分の中では、本日のメインイベントみたいなもんです。
宇宙空間での太陽光発電の活用や、次世代型ロケットをテーマとしたブースになります。
まずは太陽光発電衛星・・・要するに、宇宙空間に太陽電池モジュールをクソ沢山並べて発電させ、無線で地上まで送電を行うという壮大なプランです。たしかに宇宙なら、地上と違い大気による光の減衰も無く、場所もとらないとイイことづくめではありますな。
こちらでは、無線で電力を送る為の手段として、マイクロ波を使用した実証実験の実演が行われていました。
※太陽電池から発生した電力が、下の町(のモデル)まで送られている。
ワイヤレスでの送電技術は、アメリカなんかでも実験段階 までなされていたのは知っていましたが、日本でも実験までいっていたんですねぇ。
で、実際に宇宙ではどのような太陽電池が使われているのでしょうか。
性能をちょっと聞いてみました。
「現在使用されている太陽電池セルでは、変換効率は25~30%くらい。
理論上は40%前後までいけます。」
おぉ、一般住宅用の多結晶シリコンが14~15%と考えたらえらい高性能だ。
「ですが、やはり特殊複合のタイプですので量産はできません。
宇宙で使う場合と地上で使う場合では環境も違うので、
性能も100%発揮できないと思います。
また非常に高価で、このセル1枚で30万円くらいしますよ。」
・・・
30マソ!?
勘弁して下さい・・・モジュール(セルを何枚も組み合わせて作られたパネル)1台10万ナンボの製品をやれ高いのなんの言われている人間には、高嶺の花のもっと上をいってます。
さて、太陽電池の興味深い話も聞けたら、次はロケットのブースです。相模原は旧ISASなので、やはりと言うべきか固体燃料ロケットが主役となっています。(旧NASDAの筑波や種子島では、H-2Aの様な液体燃料系のロケットが主役となります。)
M-V
5号機模型。
以前、ISASのロケットは日産自動車が中心となって作製していたそうで。
元々、日産プリンス には戦前の中島飛行機 の人員が多くいて、同じく元中島飛行機出身で、戦後にロケット開発者となった東京大学の糸川博士 との繋がりで始めたんだとか。
日産はゴーン社長になってから宇宙開発関係の部所をIHIに譲渡しました。現在はそちらで、引退したM-Vに代わる、新型のイプシロンロケット を開発中です。
で、そいつに関する事を色々聞いてみました。
-国の予算は付いてるの?-
「今年度の分は付いてますよ~。」
-いつ頃飛ぶの?-
「2013年の予定ですね~。」
-H-2AのSRBを第一段にするらしいけど、SRBって単独で姿勢制御できるの?-
「元々ジンバル制御がついていたので姿勢制御は可能ですが、ロール制御が単独で出来ないので補助スラスターを追加する必要があります。」
-M-Vはワンメイク品で決まった軌道への投入しか出来なかったはずですが、イプシロンは発射直前になって軌道目標変更とか出来るの?-
「プログラミングで、ある程度は可能です。」
-斜め打ち上げはやめちゃうの?-
「当初の計画では垂直発射の予定でしたが、ここへきて発射直後の安全性の観点等から斜め打ち上げ案も再浮上してます。」
-軍事転用とかは?(ヲイ)-
「詳しくないのではっきりとは分かりませんが、ペイロードを地球半周させるだけなら三段目までなくても二段目まででいけると思います。その場合はペイロード5tくらいは運べますね。ただ、目的地までの誘導はそのままでは出来ませんので、制御する手段が別に必要となります。」
う~む興味深い話を聞けた。
以前からの疑問点が消化できてよかったわい。
特に固体燃料ロケットは、宇宙開発の手段としてだけでなく、国防の観点からも手放しちゃあいけない技術だと考えてましたから、これからも進化させ続けて欲しいモンです。
(25.8へ続く)