俺の前にいる
その人は
本当にチャンミンによく似ていた

後ろ姿だけでなく
透き通るような薄茶色の瞳
ほんのり紅い唇まで…


「君は?
何で俺の名前を知ってるの?

初めて会うと思うけど…」

不思議に思って尋ねた

「そうですよね
僕は、テヨンさんの部下の
イ ユンと言います」

彼は自分から名乗った

「チャンミンさんは
テヨンさんの病室にいますよ
僕がご案内します」

病室に行く道すがら

「貴方は…チャンミンさんの恋人ですよね」

いきなりユンに聞かれて驚いた

「何でそんな事を知ってる?」

「テヨンさんが話してくれました」

俺達の事を話して聞かせるなんて
ユンとテヨンさんは
どういう関係なんだろう…

「君はテヨンさんの部下と言ってたけど
そんな話をする仲なの?」

返事の代わりに
ユンは曖昧に笑った

テヨンさんの事は
関係ない

それよりも
チャンミンの事が気になって
仕方がなかった

「チャンミンは、何で
テヨンさんのそばにいるんだ?

どうして、連絡も出来ない?」

返事に困ったユンは

「それは…自分の目で
確かめて下さい」

それだけ言うと背中を向けて
俺の前を歩き出した

病室のドアの前に着き
ノックをした

中から

「はい…」

チャンミンの声が聞こえてきた

ドアを開けて
ユンと一緒に中に入る

病室を見渡すと
眠るように
ベッドに横たわるテヨンさんと

しっかりと…彼に手を握られた
チャンミンの姿が
目の前にあった

どうして?
何でここにいる⁉︎

俺は声に出して
そう叫びたかった

だけど…

「チャンミン…」

声をかけるのがやっとで
その場所から動く事も出来ずに

ただ、2人の姿を
見つめる事しか出来なかった…