その夜は
いろんな事を思い悩んで
寝付けないまま
一晩を過ごした

まだ
朝が明けるには
かなり早い時間だけど…

何も考えられないほど
疲れきった頭の中を
コーヒーを飲んで
すっきりさせようと
ベッドから起き出した

「1人っきりなんて
久しぶりだ…」

僕はぽつんと呟いた

人の気配を感じない
しんと静まり返った部屋の中

1人でいるのは
やっぱり寂しいと思った

テミンの賑やかな声と
ユノさんの温もりが
恋しいと感じてしまう

もしも
このまま…

本当にユノさんと別れる事になったら…

また、1人に戻ったら…

僕は、今度は孤独に
耐えられるのだろうか

僕は…
本当に1人でやっていけるのか?

そう考えたら
胸が不安で押しつぶされそうになる…

「熱っ!」

考え込みながら
コーヒーを入れていたら

指にお湯がかかってしまい
慌てて
水道の蛇口をひねって
流れる水で指を冷やした


そういえば
この前、同じように
指にお湯がかかった時

「チャンミン大丈夫か?」

ユノさんが、心配そうな顔で
すぐに僕の所に駆けつけてくれて
僕の手を掴んで
水道の水に指を晒してくれっけ…

そんな事を思い出したら
胸の奥が締め付けられる程
苦しくなって

「ユノさん…」

僕は思わず、名前を呼んでしまった


「チャンミン…」

誰もいないはずなのに
後ろから…

ユノさんの声が
聞こえたと思ったら
背中の方から急に抱き締められた

僕は驚いて、思わず後ろを振り返った

「あまり、眠れなかったんだろう」

僕の目が赤い事に
気づいたのか
ユノさんは心配そうな顔で
僕の顔を覗き込んでいた

ユノさんも
僕と同じような目をしている

「ユノさんこそ…」

僕は、ユノさんの顔に手を伸ばし
頬に触れようとしたけれど
逆にユノさんにその手を掴まれた

指と指を絡ませ、僕の手を
自分の方に引き寄せキスをした

「ずっと、君の事を
考えてた…」

ユノさんが
耳元で囁くと…

自然と身体が熱くなった

こうして
触れてくれるだけで
こんなに身体が
反応してしまう

なのに…
今は素直になれない

そんな自分の性格が
嫌だと思う

押しのけるように
腕を伸ばして
ユノさんから離れた

「朝ごはんまだでしょう?
今から作りますね」

僕が、冷蔵庫を開けようと
振り返ると
ユノさんが僕を
もう一度手元に引き寄る

「なんで…避けるの?」

ユノさんは
悲しそうな顔で
僕を見つめていた