それから数日間は
チャンミンと
穏やかな日々を過ごす事が出来た

チャンミンを抱き締めて
目覚める朝は
俺に幸せを感じさせてくれる

それでも
いつも賑やかなテミンがいないと
心の中にぽかりと穴が開いたようで
やっぱり寂しいと思った



忙しい仕事の合間に
スマホが鳴って電話に出た

「ユノ…テミンが
あなたに会いたがって仕方がないの
とにかく今日
そっちに戻るわ」

ヨニからの電話を切って
俺は急に不安になった

ヨニはテミンの事を
どうするつもりなんだろう…

このまま、俺に預ける
なんてことは
全く考えてないはずた

テミンの荷物を全部持って
そのまま連れて行って
しまうのだろうか?

いろんな考えが頭の中をよぎる

とにかく気持ちを切り替えて
その日の仕事をこなす事にした


1日が終わって
自宅へと向かう

今日は、なんだか気が重い…

疲れた体でドアを開けると

「パパ!おかえりなさい!」

いきなりテミンが
抱きついてきた

「ママと一緒で楽しかったか?」

俺は、自分の気持ちを隠して
テミンの頭を撫でた

「うん!遊園地に行って
たくさん乗り物に乗ったんだよ!
それにね 動物園にも行ったんだ!」

俺の気持ちに気づくはずもなく
テミンは、楽しそうに
話して聞かせてくれた

動物園にも行ったんだ…

チャンミンと一緒に行った時も
嬉しそうな顔してたよな

テミンにとって
母親のヨニも
俺やチャンミンと
同じくらい
大切な存在なんだ

違うな…

母親との血の繋がりは
俺達には敵わない

やっぱり、テミンは
ヨニが産んだ子供なんだと
改めて思う…

テミンの幸せを考えると
ヨニと暮らすのが
1番なんだろうな

そんなことを考えていると

「パパ、ママがね
これからは、ずっと僕と一緒に
暮らすんだって
そう言ってくれたんだよ!」

テミンは
天使の様な微笑みを浮かべて
俺に話をしてくれた

俺は驚いて、
この子を見つめていたら
いつの間にきたのか
ヨニが俺達に近づいて来て
テミンを後ろから抱き締めた

「ずっと貴方に任せきりで
本当に申し訳無かったと思ってる

これからは、やっぱり
テミンと一緒に暮らしたいの」

ヨニは
真剣な表情をして
俺を見た

「ヨニ…」

やはり…この時が来てしまったか

俺は覚悟を決めた

そして、俺が口を開こうとした
その前に

「その時、貴方も…
私達と一緒にいてくれないかな?」

ヨニが…いきなり
そんな事を言い出した

何でそんな事を思ったのか?

「俺たちの間に
恋愛感情なんてないだろ?」

ヨニに向かって言い返した

だけどヨニは、俺の目を
じっと見つめて

「帰国するたびに
大きくなるテミンを見るのが
私の楽しみだった

テミンといる
貴方を見る度に
テヨンさんを思い出した

貴方は本当に仕草まで
お兄さんにそっくりなのね…」

そう言って
ふと表情を和らげた

きっと兄の事を思い出して
いるのだろう…

「でもね…
貴方を見るうちに
テヨンさんへとも違う
気持ちが湧いて来たの

今度帰国して
それがはっきりわかったのは
貴方があの人に向ける視線に
気が付いたからよ…」

それから…
ヨニは俺を射るような目をして
はっきりと言葉にした

「あの人は貴方の…何なの?」