泣き続ける僕を
困った顔で見下ろして

「本当にごめん 悪かった…」

ユノさんは
辛そうな顔を僕に向けた

「シオンさんの気持ちを知ったら
君が俺から離れていくんじゃないかと
不安になったんだ」

「シオンさんは先輩ですよ…
どうして?
僕を信じられませんか?」

シオンさんとの再会が
ユノさんを不安にさせたのか…


「そんな事はない ただ…」

「ただ…?」

「1人になるのが…怖いんだ」

ユノさんは、顔を歪めて
僕を抱き締めた


身体の大きなこの人が
まるで子供が母親に
しがみつくように
必死で僕に抱きついている…

そんな錯覚を憶えた


ユノさんは僕に
心の全てを
許してくれている

僕に頼ってくれて
必要としてくれている


僕は、その事が嬉しくて…

ユノさんの背中に手を回し
そっと撫でた


テミンがそばにいなくなると
ユノさんは
独りぼっちになってしまう

その孤独への不安が
僕には、よく分かる

僕も、シオンさんと離れて
ユノさんとテミンと出会うまで
いつも、孤独と戦ってきた

話せる同僚や友人はいても
心を許せる人は誰もいない

そんな境遇には
もう、2度戻りたくない

僕はそう思った…

だから
不安を取り除くように
背中を撫で続けた

僕の手の感触に
安心したように
ユノさんは
柔らかく微笑みを浮かべた

「誤解して、ごめん

もう2度と君を疑わないから
許してくれるか?」

僕の腕の中で
本当に子供のような
笑顔を見せてくれる

そんなユノさんを
安心させたくて


「僕があなたから離れるはず
ありませんよ

だって、あなたは
僕が初めて
愛した人なんです

あなたは僕の全てなんだ…」

僕は心を込めて
言葉を繋いだ

僕の想いを聞いて
ユノさんは、泣きそうな顔で
僕を見つめた

「俺だって、ずっと
君のそばにいたいんだ…」

気がつくと
ユノさんの背中に回していた腕を
引き離されて
すっぽりとユノさんの胸の中に
収まっていた

愛おしそうに
僕を見つめるユノさん

僕もその顔を見つめ返した

お互いに視線を 絡め合う

そしてユノさんが


「シオンさんが例え何を言ったとしても
絶対に君を離さない」

そう言った後…

ユノさんの顔が近づいて来て
僕はそのまま黙って
彼の柔らかい唇を受け止めた