マンションに着くと
ユノさんは乱暴に玄関を開け
僕を引きずり
寝室に連れて行った

僕の身体を突き放し
その勢いで
僕はベッドに沈み込んだ

「ユノさん⁉︎」

僕を見下ろすユノさんの顔は
怒ったように見え
僕は少し怖くなった

ユノさんは
乱暴に僕のシャツに手をかけると
無理矢理引っ張り

そのまま、僕の首筋に
唇を押し付けて
僕の手首を押さえた

「止めて!
どうして?」

こんなの…
いつものユノさんじゃない

僕は、大声で叫んで
必死に抵抗した

それでも、ユノさんは
力ずくで、 また僕の唇を塞いだ

息が苦しくて…

首を振って
逃れようとするけれど
その度に何度も
ユノさんの舌に絡め捕られた

どうしてこんな事をされるのか
その理由がわからない…

突然、ユノさんが唇を離し
僕の手首を掴んで
上から顔を覗き込んだ

「あの人が…
シオンさんがなんで
あんな顔で君を見るんだ?」

怖い顔をして僕を見た

「あの人…俺と同じ…」

「えっ?」

「俺と同じ思いで君を見てる」

シオンと会って
ユノさんが何を感じたのか…

それはどういう事なんだろう?

「気がつかなかった?
多分シオンさんは
君の事を好きだったんだよ」

シオンさんは
ずっと、そんな態度を
僕に見せた事はない

「ユノさんの思い違いです
そんな事あるはずな…」

最後まで、言葉にする前に
もう一度、ユノさんは
僕の唇を塞いだ

そして…

「君の頬に触れた時の
彼の顔を見なかった?

とても愛おしそうに
君を見つめてた

そんなあの人に
俺は嫉妬したんだ」


シオンさんが…?

僕は驚いて
ユノさんを見た


僕を苦しそうに見つめて
深いため息をついた

「なんで、あの人は
自分を偽って
結婚なんてしたんだろう

それなりの事情があったんだろう

だけど
チャンミン…
あの人は、君の事を
忘れてなんかないよ」

そんなはずはない…

否定したいけど
ユノさんの様子を見たていたら
違うと言い切れる自信はなかった

シオンさんの気持ちを知って
僕は動揺した
でも…

「例えそうだとしても
僕の心は貴方のものです

だから お願い
僕の気持ちを疑わないで…」

半分泣きそうにな顔で
ユノさんに、訴えた

そんな僕を見て
ユノさんの瞳が
優しさを取り戻した

「ごめん…
君にひどい事をしてしまった」

掴んでいた手首を離して
僕の頬に、そっと触れてくれた

僕は
胸が痛くなって
涙を流し続けていた…