大銀座落語祭2006「究極の東西寄席【Aブロック】」 | こだわりの館blog版

大銀座落語祭2006「究極の東西寄席【Aブロック】」

7/15 中央会館にて

毎年「大銀座落語祭」のイメージというと「暑い!」ということ
去年も暑かったけど、今年もまぁ暑いのなんの!
会場の中央会館に着くまでに、もうグッタリ状態。
これで猛暑→冷房→猛暑→冷房を繰り返すんですから、
ホント健康にも悪いイベントです、よっぽど好きじゃなければ!

と、いうわけで『大銀座落語祭2006』初日
「究極の東西寄席」の【Aブロック】のご報告。
林家正蔵の会を皮きりに、上方の大御所2人の会が続きます。
はっきり言って【上方の大御所2人の会】が目当てです!


出演者・演目、そして感想をまとめて

「林家正蔵の会」


  渡辺 正行「時そば」 
  林家 正蔵「子別れ」


開口一番が渡辺正行ということで一瞬「ナニッ!」と思いましたが、これがなかなかの出来。
大学の時は落語研究会に所属し、立川志の輔と先輩・後輩の関係というのは有名な話。
ウン十年ぶりの落語に「大丈夫?」と危惧を感じつつも、
前座噺の「時そば」をそれほど噺もいじらずに正統派できっちり演じることろは
さすが昔とった杵柄といったところ。
なにより学生の頃の「落語を大切に演じる」という姿勢が見えただけでも大収穫。

で、続いての林家正蔵は、大ネタの「子別れ」
もうその堂々たる語り口には【こぶ平】の姿は微塵もなく実に立派な高座ぶり。
終演後のロビーでも「よかった」「よかった」の声を多く聞いた。
但し私は、正蔵師が気合いが入りすぎ、ひとつひとつの描写がクド過ぎて
「子別れ」の(下)だけで40分近くもかかってしまったのは「どうか?」と思った。
名人・八代目三笑亭可楽
「子別れ」の(中)と(下)併せてサラリと30分で終わらせたことを思うと
やはりこの噺にはベタつかず、サラリと話してこそ感動が深まると思うのだが…。


「笑福亭仁鶴の会」


  笑福亭 仁嬌「天狗裁き」 
  笑福亭 仁鶴「崇徳院」


5月の「東西落語研鑽会」でも感じたが、
本当に笑福亭仁鶴という師匠には「気負い」というものが全くない。
いくら会場がよみうりホールであろうが、中央会館だろうが、
(以前は厚生年金会館大ホールでも師の落語を聞いたなぁ)
そのキャパの大きさなどビクともせずに、【自身の落語の世界】を実に淡々と演じてしまう。
批判しているのではない。
その【淡々さ】が実におもしろおかしいのである。
そのおかしさは三代目桂春團治に通じる【おかしさ】であります。
またこの師匠が「豪快な押しの一手の落語家」六代目笑福亭松鶴
一番弟子だというのだから、尚更おもしろおかしい。

本日演じたのは十八番である「崇徳院」
今まで枝雀・吉朝・雀三郎と数多くの演者により演じられ、
それを見て聞いてきた噺でありますが、
その中ではダントツの【淡々】とした「崇徳院」。
でもその【淡々さ】が師のフラとピタリと合って、実におもしろおかしい「崇徳院」。
何かとケレン味の多さが期待されてしまう上方落語のせいか、
東京で仁鶴師の高座を見る機会が滅多にないのは誠に残念。
もっともっと、東京でも仁鶴師の【淡々】とした【おもしろおかしい】高座に接したいのだけどなぁ。


「桂三枝の会」


  桂 三枝「ゴルフ夜明け前」


うれしかった!
桂三枝師が1時間たっぷりと自身の代表作「ゴルフ夜明け前」を演じてくれたのが。

桂三枝といえば、やっぱり「ゴルフ夜明け前」。
演目として大ヒットし、小説にもなり、映画化もされ、師の代表作であるにもかかわらず
当時は上方落語が東京ではそうそう見られない状態であったため
20年近くも目にも耳にもふれることのなかった「ゴルフ夜明け前」。
昨今の落語ブームは、上方落語を頻繁に東京で見ることのできる環境を生み出し、
今まで「関西にしか通じないだろう」と思われていた
【大阪の名人】たちを東京の高座に立たせ、
そして東京でも知名度の高い師匠連中の代表作をも東京の高座で見られるようした。
これだけでも一時のブームでしかないのだろうが
【落語ブーム】は十分な【価値のある】ブームであるといえるであろう。

で、「ゴルフ夜明け前」。
おもしろかった!
【幕末】と【ゴルフ】、お互い水と油の関係である両者を、
出島にある資料で三枝師がちょっと見つけた一文からイメージを膨らませて作った創作落語。
「そんな事ないよ!」とフィクションの世界を大笑いしつつ、
坂本竜馬や近藤勇などの幕末の具体的な人物たちによるドタバタには
「もしかしたら、こういうことがあったかも」という説得力もあり、
笑いながらもどこかにリアリティを感じてしまうところが、
この噺の最大の魅力なのだろう、と大満足の後にフッと思った。


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