「ベルベット・レイン」 | こだわりの館blog版

「ベルベット・レイン」

ベルベット・レイン

10/30 銀座シネパトス にて


これもちょっと複雑すぎ…。

監督:ウォン・ジンポー
出演:アンディ・ラウ、ジャッキー・チュン、ショーン・ユー、エディソン・チャン、リン・ユアン、他

「シン・シティ」 を見て、頭の混乱が冷めやらぬうちに、
また複雑な構成の「ベルベット・レイン」を見てしまったがために
私の頭は爆発寸前までいってしまいました。

せっかく香港の若手・実力派の4大スターを配役し、
見せ方によっては“スターたちを魅せる”見応えある作品になったであろうに、
監督の感覚だけに流された、観客に不親切な演出が
全てをぶち壊しにしてしまった悪しき例のような作品でありました。

【複雑な構成】と書きましたが、物語の展開はそれほど複雑ではありません。
まずはマフィアの大ボス(アンディ・ラウ)とその腹心(ジャッキー・チュン)のエピソードがありまして
この大ボスが暗殺されるのでは、という噂が流れ香港の裏社会が大きく揺れていく中、
2人は昔の思い出話をしたり、現在の家族を心配したり
…といったストーリーが展開します。
そしてストーリーの合間合間に、今度は無鉄砲な2人の若者、
イック(ショーン・ユー)とターボ(エディソン・チャン)のエピソードが挿入されます。
彼らは鉄砲玉としての“誰か”を暗殺する指名を受けたため、
怯え戸惑いながら【暗殺の日】を迎えようとしています。

この【暗殺される側】【暗殺する側】の両極端なストーリーが平行して描かれていく訳です。
こう文章で書いていくとおもしろそうに見えるのですが、
この2つのストーリーが何故か延々と絡まずに展開していくのです。
アンディ・ラウは、ただひたすらジャッキー・チュンとしか絡みませんし、
ショーン・ユーは、ただひたすらエディソン・チャンと夜の街を彷徨っているだけ。
4人の絡みを期待していた私にとっては、もう、見ていてひたすらイライラしてくるわけです。

「なぜこの2名2組は絡まないんだ!」と。

この2組がストーリー上で絡みそうになると、
今度は演出が【はぐらかし】たりして見ている側のフラストレーションは溜まっていく一方。

「頼むから少しはヒントをくれ!」と。

そして遂にラスト、待ってましたとばかりに【タネ明かし】の【ドンデン返し】があるのですが、
まあ確かに意外な結末ではありましたが、
残念ながらその時はもう【ドンデン返し】にビックリするどころか【時既に遅し】でありまして
「なあんだ」といった感じでドッチラケ状態でありました。

【ドンデン返し】っていうものは、ツボにはまれば
その作品の評価を決定的にする極めて効果的な要素になるのですが、
それは途中まで観客が「ああじゃないか」「こうじゃないか」と推理しながら作品を楽しんだ結果、
【ドンデン返し】に「こういう結果もあったのか!」とばかりにビックリするのでありまして、
この作品のように途中ヒントすらもなく、ただひたすら観客をイライラさせておいて
「さあ驚け!」とばかりに【ドンデン返し】をされたって見ている側はシラケっぱなしですワな。

だって“返され”たって“ドンデン”が劇中に全くないんですから!

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