「インフェルノ」
またまた今週も【真夏の夜のホラー特集】であります。
今週のくくりは難しいなぁ。
んー「ホラーといえばこの監督集」とでもしておきましょう。
そこで本日はイタリアホラー界の鬼才・ダリオ・アルジェントの。
「インフェルノ」をいってみましょう!
真夏の夜のホラー特集・第12弾
1980年劇場公開作品
監督:ダリオ・アルジェント
出演:リー・マクロスキー、アイリーン・ミラクル、アリダ・ヴァリ、サッシャ・ピトエフ、ダリア・ニコロディ、他
女流詩人ローズ・エリオット(アイリーン・ミラクル)は、
ニューヨークの古い大邸宅に間借り住いをしていた。
彼女はある日「3人の母」という本を手にする。
それは、メイター・サスピリオルム(嘆きの母)、メイター・ラクリアム(涙の母)、
メイター・テネブラルム(暗闘の母)という、3人の魔女を扱ったもので、
何と偶然にもローズの住む邸は、著者である錬金術師が“暗闇の母"のために建てたものだった。
それ以来、何者かに監視されているような恐迫観念に襲われ出したローズは、
ローマで音楽を勉強中の弟のマーク(リー・マクロスキー)に手紙を書いた。
しかし、この手紙をマークが見る前に同級のサラ(エレオノラ・ジョルジ)が読んでしまい、
「3人の母」に興味をもった彼女は、それが基で何者かに殺されたのであった。
そしてその後も「3人の母」に興味をもった人物が次々と殺されて…。
ダリオ・アルジェントは今では銀座シネパトスあたりの番組建てを賑やかすくらいの
B級ホラー監督にぐらいしかなってませんが(昔からB級でしたけどね)、
70年代~80年代にかけては大ヒット作「サスペリア(1977)」を代表に
「サスペリア2(1975 これが傑作!)」「シャドー(1982)」
「フェノミナ(1984)」「デモンズ(1985)」などなど、
次々と日本でヒット作を放ち、一時はダリオ・アルジェントは興行での信頼のブランドまでなった、
まさにヒットメーカーだったのであります。
今ではジョージ・A・ロメロの代表作である「ゾンビ(1977)」でさえも
日本ではダリオ・アルジェント監督作品(監修を行ったようですね)として
公開されていたほどですからね。
いかにダリオ・アルジェントが興行の信頼のブランドだったかが、伺い知れましょう。
ダリオ・アルジェント監督作品の特長といえば、
赤・黄色の原色ケバケバの不自然なまでの画面の色構成に、
ゴブリンに代表されるバックにかかる、けたたましいロックサウンド。
そして不必要なまでに展開される殺戮シーンに、
画面におどろおどろしく流れる血、血、血。
こんな感じでしょうか。
この「インフェルノ」でも上記の特長が過剰なまでに発揮されております。
あの手この手繰り広げられる殺戮シーンは、悪趣味の一歩手前までいっており、
きっとダリオ・アルジェントはこれらのシーンを嬉々として演出してたんだろうな、と思わされます。
しかしこのダリオ・アルジェント、決定的な致命傷がありまして
それは、殺戮シーンに酔いすぎて肝心のストーリーが手抜きになってしまうところなんですね。
これまた本作でもここは忠実に守ってくれておりましてミステリーホラーの体裁をとっておきながら
ストーリー展開がいい加減なものだからちっとも“ミステリー”になってないんですよ。
“暗闇の母"の屋敷構成もよくわかりませんし(何故か地下に大きな沼が唐突に現れたり!)、
ミステリーで重要な鍵を握っているのではと思う人物を次のシーンではあっさり殺してしまったりと、
これじゃあミステリーとしてのストーリーの底が浅くなってしまう一方なんですよ。
本当にもうちょっと脚本を練ったらおもしろいのになあ、と見ていて思います。
そうこうしている内にダリオ・アルジェントも
90年代以降はすっかりB級ホラーの監督に落ち付いてしまったようで
(本国イタリアでの人気はわかりませんけどね)
まあこれも流行監督の宿命なのかもしれませんが、
人気絶頂時の代表作で、もうちょっとしっかりした作品を連打していれば、
現在でも少しは名の知れた監督に残れたであろうに…
ホラー映画ファンとしては残念であります。
■ダリオ・アルジェントではこちらがBest!
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- ハピネット・ピクチャーズ
- サスペリア2 完全版
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