「国立演芸場八月中席」 | こだわりの館blog版

「国立演芸場八月中席」

8月国立演芸場
すごい表情の一龍斎貞水師の公演ではありません。
私が観たのは温和な表情の桂歌丸師の方の公演です。


8/14 国立演芸場にて


落語芸術協会会長の桂歌丸師がこの10年以上、
国立演芸場の八月中席で毎年取り組んでいる三遊亭圓朝作の通し口演。
2001年に「真景累ヶ淵」が終了し、2002年からは「怪談牡丹灯篭」に取り組んでおり
2002年「お露と新三郎」、2003年「お札はがし」、2004年「栗橋宿」ときて
今年2005年の「関口屋のゆすり」で大団円を迎えたわけです。


出演者・演目は下記の通り


 桂 花丸「ライオン」
 東京丸・京平「漫才」
 春風亭 柏枝「粗忽長屋」
 ボンボンブラザース「曲芸」
 雷門 助六「こり相撲&踊り(姉さん・奴さん)」

     仲入り

 桂 小南治「そば清」
 松乃家 扇鶴「俗曲」
 桂 歌丸 三遊亭圓朝作「怪談牡丹灯篭」より
      第四話「関口屋のゆすり」


「怪談牡丹灯篭」の中でも「関口屋のゆすり」は主の筋の後日談的内容で、
「栗橋宿」で女房・お峰を殺した伴蔵が、酌婦・お国の“ゆすり”にもびくともせず、
ついに真の悪人に成り下がる一幕を描いたもので、
【怪談】の中の1話ながら全く怖くはありません。
お芝居(歌舞伎や文学座公演)でも「栗橋宿」のラストを脚色してここで終わってしまいますので
「関口屋のゆすり」だけを聞いただけでは
「怪談牡丹灯篭」の持つ【怖さ】は伝わってこないという地味な演目であります。
歌丸師も“やりづらい”演目であるのは承知の上で、
しかし「怪談牡丹灯篭」の作品全体が持つ【怖さ】を通しで口演することで伝える、
という意図のもと今回の口演に至ったのでありましょう。

で、ありますから今回の「関口屋のゆすり」だけを聞いた人はきっと
「どこがいいんだ?」と退屈に思ったことでしょう。
私も実はその一人。
三遊亭圓生の「怪談牡丹灯篭」通し口演のCDでは聞いてはいたものの、
やはり「関口屋のゆすり」は後日談的内容に変わりないな、という事を
今回の歌丸師の口演で再認識した次第です。


ということで、メインの歌丸師についてはこれくらいにして、
今回の番組建てで是非紹介しておきたい事を2つほど


まずは曲芸のボンボンブラザース
この名前を見て「プッ!」と吹き出した方は、かなりの寄席通ですね。
私も15年前に彼らと“遭遇”して以来、すっかりハマってしまってます。
太神楽(曲芸)は落語協会の公演なんかでは、袴はいた“和風テイスト”の方々ばかりですが、
ボンボンブラザースは洋装の、しかも太神楽の中では最もおもしろいコンビだと今でも確信してます。
15年間、数十回と彼らを見て、今回久々に彼らと“遭遇”しましたが、
本当いつ見ても変わりませんし、いつ見てもおもしろい。
もうそのおもしろさはイブシ銀の光を放ちつつありますね。
何がおもしろいかは、これは見なければわかりません。
色物は香盤にあがっていても、当日代演の可能性もありますが是非あきらめずに
一度ボンボンブラザースに“遭遇”してみてください!


2番目が雷門助六
これはお勧めというよりは、
助六師が八月中席に国立演芸場に出演する事に感慨を受けてしまったんですね。
雷門助六といえば、先代の助六師は浅草“住吉踊り”を復活させた功労者。
先代助六師と古今亭志ん朝とで浅草演芸ホールで“住吉踊り”を復活させ、
今日の名物公演へとしていったのであります。
当代助六師も前名の雷門五郎の時から、この“住吉踊り”に参加。
公演の看板出演者として活躍していました。
つまり助六師の八月中席は浅草演芸ホール、というイメージが強烈に残っているんですね。
しかし古今亭志ん朝が亡くなり、“住吉踊り”もいろいろあったのでしょう。
別協会の出演の問題なんかとか。
まあ詳しい事は知りませんし、知りたくもないですが…
でも何かはあったのでしょう。
八月中席の国立演芸場の仲入り前に助六師が出演するということは…。
助六師の鮮やかな【操り人形“奴さん”】を見ながら、
そのあったであろう“何か”に私は深い感慨を受けてしまったのであります。


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