「マシニスト」 | こだわりの館blog版

「マシニスト」

3/26 シネクイントにて

このストーリーを映画化しようというのもすごいことだが
それを実際に演じてしまうクリスチャン・ベールはもっとすごい!

監督:ブラッド・アンダーソン
出演:クリスチャン・ベール、ジェニファー・ジェイソン・リー、アイタナ・サンチェス=ギヨン、ジョン・シャリアン、マイケル・アイアンサイド、他

噂にたがわずクリスチャン・ベールがとにかくすごい
1年間365日寝ていないという設定の男を体当たりで熱演。
なにせストーリーを考えた脚本家ですら「この主人公はCGか着ぐるみで描くと思っていた」というほどの役を、クリスチャン・ベールは実際に30㎏減量して、骨と皮だけのグロテスクなまでの姿となって演じてしまったのだから!
そこまで体を張るほどの作品か?といってはモトもコウもないが、しかしクリスチャン・ベールが実際にガリガリの姿で演じたからこそ作品に一層のリアリティが出て、高いクオリティになったのも事実。
一人の役者の力で作品がここまでレベルアップしてしまうのだから、役者冥利に尽きるってなモンです。

映画は、ガリガリに痩せ顔が傷だらけの男(クリスチャン・ベール)が誰だかわからぬ“死体”を捨てに行く所から始まる。
マットでグルグル巻きにされた死体は、足だけしか見えない。
男は意識朦朧の中、港へ死体を捨てようとする。
そこへ「おまえは誰だ!」の呼び声。
振り向く男。今にもマットから飛び出ようとする死体。
男はなぜこれほどガリガリに痩せ、傷だらけなのか?
死体はいったい誰なのか?
呼びかけた声の主はだれなのか?
ここで映画は一気に過去に遡り、男の数奇な運命をたどりながら状況の謎解きを徐々におこなって行く…。

監督のブラッド・アンダーソンはクリスチャン・ベールという格好の素材を得て、作品全体を【色褪せた】といっていいほどの映像で描いていく。そのタッチは男の「寝ていない」という意識を映像化したかのように、夢かうつつか、といった幻想的な効果をあげていく。
非常にモヤモヤした部分が多く、作品がはじまってすぐは展開が回りくどく正直「とんでもないモンを見ちゃったな」と面食らってしまったが、男の働いている工場のベテラン(マイケル・アイアンサイド、懐かしい!)が男のミスで片腕を切断してしまうショッキングなシーンあたりから徐々におもしろくなってきて、そこからラストまではモヤモヤな描写ながらも一気におもしろく見ることができた。

ラストの謎解きもなかなかショッキングでありますが、途中で何となく底が割れてしまうのがご愛嬌。
しかしこの男。1年間寝ていないということで、意識は常に朦朧としているようだが、完全な“記憶喪失”ではないのですよね。
【あの出来事】から職場も変わってないようですし、同僚の顔も覚えているし、それなのに肝心の【あの出来事】の記憶が抜けている…
【あの出来事】があまりにもショックな出来事で「忘れよう…」という意識が、不眠症を導いて記憶すらもなくしてしまう、ということなのだろうか。

んー、書きながらこの作品の矛盾点を発見してしまいましたが、
まあ、どれもこれもそれも全て
クリスチャン・ベールの体を張った熱演で許してしまいましょう!
なぜならば…今書いている私がいちばん眠いから!

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