「セッション9」 | こだわりの館blog版

「セッション9」

セッション9


「マシニスト」 を見て、監督のブラッド・アンダーソンの旧作である本作品を急に見たくなり鑑賞しました。
大分前にWOWOWでの放送分をビデオ録画してあったもの。
この作品公開当時は、あまり話題になりませんでしたが、
観る者の神経をジリジリと刺激する結構怖い作品です。
まぁ、見ていてちょっと不快になってきますので、積極的に鑑賞をお奨めはしませ んけどね…。

2002年劇場公開作品
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:デヴィッド・カルーソー、スティーヴン・ジェヴェドン、ポール・ギルフォイル、ジョシュ・ルーカス、ピーター・ミュラン、他

「マシニスト」は何かと主役のクリスチャン・ベールばかりが話題になってしまいましたが、
この「セッション9」を見ると、監督のブラッド・アンダーソンが非常に雰囲気作りのうまい監督で、
「マシニスト」も監督の作り出す雰囲気があってこそクリスチャン・ベールの怪演が引き立っていた、
ということがよーくわかります。

19世紀に建てられ、1985年に閉鎖されて以来、廃墟と化していたダンバース州立精神病院が舞台。
今回、この建物が公共施設として改修されることになり、アスベスト除去のために5人の男がやって来る。
通常は2週間かかる作業ながら、彼らに与えられた時間は1週間。
さっそく作業を始める彼らだったが、一人がかつてこの病院の患者で多重人格者の診察テープを発見してから次第に各人の精神が追いつめられていく……。

【廃墟】【精神病院】【多重人格者】【重労働】…
もうこれだけの要素が揃えばサイコスリラーとしてのお膳立ては全て整ったようなもの。
あとはブラッド・アンダーソンの演出が、観る者を不快にさせるほどの冷たいタッチをみせることで、
観る者の神経を逆なでさせていきます。
特に、作業員の一人が発見する【多重人格者の診察テープ】が異様なまでに効果をあげています。
診察は数回に分けられて行われ、その度に「セッション1」「セッション2」(ここから題名がとられています)と問診テープは分けられ、作業員がテープを次々に発見していき、次第にその診察の全容が明らかになってくるのであります。

考えて見れば映画としては安く上がってますよね、何せ出てきたのは録音テープなのですから!
決して回想シーンなどで“場面”としては出てきません。
しかしこのテープというのがクセもので、テープから発せられる不気味な問診風景と、廃墟の壁一面に張られた患者のスチール写真とが合わさって異様なまでの雰囲気をかもしだし、観る者のイマジネーションを不気味に刺激するんですね。
それに舞台が【廃墟】ですから「壊れた壁」や「あちこちに出来た水溜り」「散らかった診察器具」などが
異様な雰囲気を作りあげ、
そして改修作業のためあちこちに張られた「白いビニールシート」などは、シュールなまでの空間を作りだして、もう作品の不気味な雰囲気作りは最高潮!
不気味さが全編に漂い、これといったショッキングなシーンなどなくとも見ていてジリジリと不快に、
そして怖くなってくるのであります。

これはもう、作品の雰囲気をガッチリ作り上げた監督の勝利。
そして低予算を逆手にとって“観る者のイマジネーション”で【恐怖】を作り上げた
制作者たちのアイデア勝利でありましょう。

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