近頃無性にKに逢いたくなる。

もう逢えないって分かってるのに、それが余計に逢いたくさせる。 

自分で命を絶ったKは成仏なんてしていなくて、その辺をフワフワと空気と一緒に漂っているんじゃないかって本気で考えたりもする。

睡眠薬も効かない真夜中。
左腕の中で寝ている猫のにゃあの寝息を聴きながら、『この子はちゃんと生きているんだな...』と思いながら、視力の弱い目でぼやけた天井を眺める。

もしかしたら枕元にKが訪ねてくるんじゃないかと期待しながら、Kと何を話そうかと考えてみる。
けれど、彼は一向に現れない。
当たり前だけど現れない。

『Kと同じであたしも自分の事が邪魔なんだよ。生きることが怖いんだ』

『あたしは身体も心も考え方も汚いの。だから大切な人を傷つけてしまう。あたしは重荷でしかないんだと思う。一体どうしたらいいの?離れていった方が相手は幸せになる?本当はそんなの嫌だ。でも苦しいね。Kもそうだった?こんな気持ち抱えてた?』

『Kと同じ屋根の下で暮らしたコトもあったのに、お互いに自分の事を隠し続けてた。あの時お互いに本音を吐いていたら何か変った?』

『バカだなぁ...真実を知ってもあたしは拒絶したりしなかったのに。』


親族の中で最期に会ったのも、メールをしたのも、あたしだった。

Kが命を絶って、かなり経過してからあたしに両親からそれらを伝えられた。

後追いする可能性があるからという親族達の気配りだった。


あれから何年経った?

記憶が曖昧でぼやけてしまって思い出せないや。

 感情が不安定だからかな、そんなコトばかり考えてしまう。

K、もう春だよ。