家庭医と話そう!ワールドカフェ
9.18に「家庭医と話そう!ワールドカフェ」が行われました!
参加者はなんと76名。
北海道、青森、長野、大阪、兵庫と遠方からの参加もあり、家庭医は14名、その他、医学生、コメディカル(看護師、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、栄養士)、鍼灸師、合気道の先生、医療系会社の方、NPOの方、介護福祉系の方、会社員、専業主婦、お茶屋のおかみさんなどなど。
このイベントは、プライマリケア学会若手医師部会の吉本医師・遠井医師と、「みんくるカフェ」の私(孫)、「きたくぶ」の密山医師で企画しました。
総合司会は、Empublicの長谷川さん(通称おぎんさん)でした!
Twitter中継のまとめはこちら:http://togetter.com/li/189536
第1部は家庭医による基調講演。
まずは、東京下町のスーパー家庭医にして、医療生協家庭医療学開発センター長の藤沼康樹医師による「家庭医療宣言」。
小児から高齢者までさまざまな事例を紹介しながら、家庭医がライフサイクルの視点をもつこと、予防医療に力を入れる「おせっか医」であること、こころの問題や女性医療も見ること、地域をケアする視点をもつこと、在宅医療にも強いことを説明。
「風邪は患者さんとの出会いのきっかけ。そこから予防的介入をする」
「家庭医は八百屋のおやじ。地域のよろず相談屋」
「家庭医は超高齢社会のキーパーソンとなりうる」
「家庭医は家族全体の相談役」
「家庭医は、人生の最初と最後のよりどころ」
などの言葉が印象的でした。
2人目は菅野哲也医師による「病院で働く家庭医」について。
「私の病気は何科?」
患者さんが自分の症状の専門科を選ぶのは大変。家庭医であれば、科に関わらず相談できる。
病院に家庭医がいたら、入院する患者さんにもメリットが。
例えば、肺炎と脳梗塞と糖尿病を患う患者さんの担当は家庭医であれば、一人で担当できる。
3人目は吉本尚医師による「診療所で働く家庭医」について。
岡山県山間部の診療所で長らく家庭医として勤務していた経験からお話。
家庭医は「家族を見るのが得意」。ほとんどの方で家族図を作成して、診療に役立てている。
例えば27人もの大家系の25人が吉本医師を受診していたことも。
診療所の外でも予防医療活動として、学校の健診、乳がん検診、予防接種、健康講座などを行う。
スライドには、吉本先生が写した患者さんの写真がたくさんあり、そのどれもが素敵な笑顔でした
4人目は密山要用医師による「家庭医が行う地域ヘルスプロモーション」。
勤務する病院では、地域の子供たちを対象に「病院こども医療探検」という企画を毎年行っている。
子供たちが白衣を着て、医師・看護師・薬剤師を体験。
また、個人的に東京北区の健康・医療・こどもに関心がある人が集まれる場「きたくぶ」を開催。
北区のおしゃれなカフェで毎月開催しています。
5人目は私、孫大輔より「家庭医が行う市民参加型ヘルスプロモーション」。
勤務する診療所では、地域の介護スタッフ(ケアマネージャー、ヘルパー)を招いて「北足立ティールーム」という学習会・交流会を行っている。
また、1年前より誰もが医療・健康の身近な話題について対話できる場「みんくるカフェ」を毎月、開催している。
医療関係者のみならず、一般の方も多く参加し、これまでのべ120人が参加。
今後は、全国に同じような対話の場を広げて行きたい、と。
また被災地支援の一環として、宮城県の仮設住宅で「お茶っこ健康相談」という取組みをスタートした。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/blog/pcat/201109/521486.html
「日本の医療は家庭医が変えるぜよ!」という龍馬さんの言葉で締めくくりました。
第2部は、登壇者によるパネルディスカッション。
総合司会のおぎんさんから、家庭医に質問。
Q「家庭医が増えることで日本の医療はどう変わりますか?」
A「患者さんに主権が移るというパラダイムシフトがおこる」
A「医療者と患者さんの壁を超える、距離感を縮める」
A「医師不足問題や、超高齢社会の問題に対するソリューションとなる」
Q「10年後にはどんな状況になっていることが理想的ですか?」
A「すべての国民がかかりつけ医として家庭医をもつ。家庭医は日本の医療再構築のキーパーソン」
A「みんくるカフェのような、市民と医療者の対話の場が全国で普通に行われることを期待」
Q「幅広い分野を網羅する家庭医の質保証はどのようにされるのでしょう?」
A「コモンな病気のリストというのはせいぜい100程度。習熟するのは困難ではない」
A「家庭医療専門医という学会ベースの質保証」
A「生涯学習法として、多くの疾患を見るというストラテジーではなく、省察的実践家というストラテジーが必要となる」
第3部はワールドカフェを行いました!大テーマは「未来の医療をより良くするためには?」。
テーブルテーマとして、以下の3つが用意されました。
(1) 理想の医療のために家庭医に期待することは?
(2) 地域医療において、あなたと家庭医が一緒にできることは?
(3) わたしの住む "まち" をより健康にするには?
全体で15のテーブルがあり(1つのテーブルに1つのテーマ)、参加者は15分ごとに異なるテーブルに移っていきます。各テーブルのファシリテーターは家庭医がつとめました。
各テーマごとに出たキーワードを御紹介します。
理想の医療のために家庭医に期待することは?
「家庭医はまちのコンシェルジュ」
「トータルヘルス・アドバイザー」
「家族みんなの話を聴いてくれる」
「中継的な役割としての家庭医」
「予防医療を広めるキーパーソン」
「専門医との連携」
地域医療において、あなたと家庭医が一緒にできることは?
「医療職種間での情報共有」
「住民からの情報発信と情報共有」
「西洋医学・東洋医学との接着剤としての家庭医」
「ホームセラピストとしてのリハビリスタッフ」
「多職種による医学生の教育」
「トップダウンとボトムアップを組み合わせる」
「まちの保健室」
「学校・養護教諭との連携」
「患者が所有するマイ電子カルテの促進」
わたしの住む "まち" をより健康にするには?
「高齢者が自立して暮らしている」
「学ぶ場、集まれる場をつくる」
「本音を話せる場をつくる」
「こどものパワーを利用する」
「学生やこどもが健康のモチベーターとなるブリッジング」
「商店街」「祭り」をいかす
「まちのつながりの起点」
「医療へのアクセスが良いまち」
「友人・家族のような医療者」
最後は、ワールドカフェの話合いの内容をファシリテーターが簡単に発表しました。
「薬局の相談機能を高める、家庭医との連携を強化、テレフォントリアージなど」
「市民と家庭医が出会う機会を増やしたい」
「まちの保健室としての家庭医。カフェのような集まり、高齢者の寄合いに家庭医が参加」
「ゆるいネットワーク作りを。地域の健康問題で家庭医が頼りになることを周知しよう」
「地域の人たちを巻き込んだ医師教育。医学生に対する家庭医療の普及」
「地域での人と人のつながり、環境への働きかけ。自分のまちを知るために対話する」
「地域でどんな医療リソースがあるかを知る。みんなが集まる社交場を作る」
「まちが好きであるという想い、それを共有する場を作る」
「地域で問題を抱えている人が見える環境づくりを」
最後は、主催者の私から「一般の方と医療者がフラットな関係で気軽に対話できるこういう場はまだ少ない。今後、このような会をどんどん広めて行きたいと思っています。自分でやってみたいという方は全面的にサポートします!」という言葉で締めくくりました。
本当に、素晴らしい集まりとなりました
最後に参加者アンケートからの感想を一部紹介します。
ワールドカフェという手法はすごく新鮮に感じ、元の席に帰ってくる時にはホントに旅先で異文化交流をしてきたような錯覚に陥るくらい、360°開かれた感覚を覚えました(音楽関係・会社員)
ふだん、なかなか医学生さんと話す機会がないのですが、彼/彼女たちのキラキラした目やまっすぐな性格の良さに圧倒されました。家庭医の先生方が、こうしたまっすぐな医学生さんにアピールするのだな、と嬉しい気持ちになります(編集者)
地域での人同士のつながりが失われている、と良く言われますがその流れを「家庭医」が変えて欲しい、と本当に思いました。家庭医の認知を目的とした小学校でこどもたち、またはおかあさんと家庭医が話す学校カフェ、どこかの地域へ出かけてその地域の健康づくりを考える出張カフェなどやってはいかがでしょうか(鍼灸師)
家庭医と一緒に活動したいと切に思った。 医療・介護・子育て・環境など、すべてつながっている。分断されてきたこれらを再び結びつけてまちを作っていく。その1つに家庭医という人がいる、そんな社会を思い描きました(理学療法士)
この場を借りて、参加者の方々のすべてに、また運営を手伝ってくれたスタッフのみんな、講演していただいた藤沼先生はじめ、各先生方に御礼もうしあげます。
「9.18家庭医と話そうワールドカフェ」スタッフ:
孫 大輔(北足立生協診療所、「みんくるカフェ」主催)
遠井 敬大(川崎セツルメント診療所、関東家庭医療ネットワーク代表)
密山 要用(王子生協病院 後期研修医、「きたくぶ」主催)
吉本 尚(三重大学医学部附属病院、日本プライマリケア連合学会若手医師部会代表)
長谷川 綾子(株式会社エンパブリック)
主催:医療福祉生協連 家庭医療学開発センター
協力:日本プライマリケア連合学会 若手医師部会
参加者はなんと76名。
北海道、青森、長野、大阪、兵庫と遠方からの参加もあり、家庭医は14名、その他、医学生、コメディカル(看護師、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、栄養士)、鍼灸師、合気道の先生、医療系会社の方、NPOの方、介護福祉系の方、会社員、専業主婦、お茶屋のおかみさんなどなど。
このイベントは、プライマリケア学会若手医師部会の吉本医師・遠井医師と、「みんくるカフェ」の私(孫)、「きたくぶ」の密山医師で企画しました。
総合司会は、Empublicの長谷川さん(通称おぎんさん)でした!
Twitter中継のまとめはこちら:http://togetter.com/li/189536
第1部は家庭医による基調講演。
まずは、東京下町のスーパー家庭医にして、医療生協家庭医療学開発センター長の藤沼康樹医師による「家庭医療宣言」。
小児から高齢者までさまざまな事例を紹介しながら、家庭医がライフサイクルの視点をもつこと、予防医療に力を入れる「おせっか医」であること、こころの問題や女性医療も見ること、地域をケアする視点をもつこと、在宅医療にも強いことを説明。
「風邪は患者さんとの出会いのきっかけ。そこから予防的介入をする」
「家庭医は八百屋のおやじ。地域のよろず相談屋」
「家庭医は超高齢社会のキーパーソンとなりうる」
「家庭医は家族全体の相談役」
「家庭医は、人生の最初と最後のよりどころ」
などの言葉が印象的でした。
2人目は菅野哲也医師による「病院で働く家庭医」について。
「私の病気は何科?」
患者さんが自分の症状の専門科を選ぶのは大変。家庭医であれば、科に関わらず相談できる。
病院に家庭医がいたら、入院する患者さんにもメリットが。
例えば、肺炎と脳梗塞と糖尿病を患う患者さんの担当は家庭医であれば、一人で担当できる。
3人目は吉本尚医師による「診療所で働く家庭医」について。
岡山県山間部の診療所で長らく家庭医として勤務していた経験からお話。
家庭医は「家族を見るのが得意」。ほとんどの方で家族図を作成して、診療に役立てている。
例えば27人もの大家系の25人が吉本医師を受診していたことも。
診療所の外でも予防医療活動として、学校の健診、乳がん検診、予防接種、健康講座などを行う。
スライドには、吉本先生が写した患者さんの写真がたくさんあり、そのどれもが素敵な笑顔でした
4人目は密山要用医師による「家庭医が行う地域ヘルスプロモーション」。
勤務する病院では、地域の子供たちを対象に「病院こども医療探検」という企画を毎年行っている。
子供たちが白衣を着て、医師・看護師・薬剤師を体験。
また、個人的に東京北区の健康・医療・こどもに関心がある人が集まれる場「きたくぶ」を開催。
北区のおしゃれなカフェで毎月開催しています。
5人目は私、孫大輔より「家庭医が行う市民参加型ヘルスプロモーション」。
勤務する診療所では、地域の介護スタッフ(ケアマネージャー、ヘルパー)を招いて「北足立ティールーム」という学習会・交流会を行っている。
また、1年前より誰もが医療・健康の身近な話題について対話できる場「みんくるカフェ」を毎月、開催している。
医療関係者のみならず、一般の方も多く参加し、これまでのべ120人が参加。
今後は、全国に同じような対話の場を広げて行きたい、と。
また被災地支援の一環として、宮城県の仮設住宅で「お茶っこ健康相談」という取組みをスタートした。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/blog/pcat/201109/521486.html
「日本の医療は家庭医が変えるぜよ!」という龍馬さんの言葉で締めくくりました。
第2部は、登壇者によるパネルディスカッション。
総合司会のおぎんさんから、家庭医に質問。
Q「家庭医が増えることで日本の医療はどう変わりますか?」
A「患者さんに主権が移るというパラダイムシフトがおこる」
A「医療者と患者さんの壁を超える、距離感を縮める」
A「医師不足問題や、超高齢社会の問題に対するソリューションとなる」
Q「10年後にはどんな状況になっていることが理想的ですか?」
A「すべての国民がかかりつけ医として家庭医をもつ。家庭医は日本の医療再構築のキーパーソン」
A「みんくるカフェのような、市民と医療者の対話の場が全国で普通に行われることを期待」
Q「幅広い分野を網羅する家庭医の質保証はどのようにされるのでしょう?」
A「コモンな病気のリストというのはせいぜい100程度。習熟するのは困難ではない」
A「家庭医療専門医という学会ベースの質保証」
A「生涯学習法として、多くの疾患を見るというストラテジーではなく、省察的実践家というストラテジーが必要となる」
第3部はワールドカフェを行いました!大テーマは「未来の医療をより良くするためには?」。
テーブルテーマとして、以下の3つが用意されました。
(1) 理想の医療のために家庭医に期待することは?
(2) 地域医療において、あなたと家庭医が一緒にできることは?
(3) わたしの住む "まち" をより健康にするには?
全体で15のテーブルがあり(1つのテーブルに1つのテーマ)、参加者は15分ごとに異なるテーブルに移っていきます。各テーブルのファシリテーターは家庭医がつとめました。
各テーマごとに出たキーワードを御紹介します。
理想の医療のために家庭医に期待することは?
「家庭医はまちのコンシェルジュ」
「トータルヘルス・アドバイザー」
「家族みんなの話を聴いてくれる」
「中継的な役割としての家庭医」
「予防医療を広めるキーパーソン」
「専門医との連携」
地域医療において、あなたと家庭医が一緒にできることは?
「医療職種間での情報共有」
「住民からの情報発信と情報共有」
「西洋医学・東洋医学との接着剤としての家庭医」
「ホームセラピストとしてのリハビリスタッフ」
「多職種による医学生の教育」
「トップダウンとボトムアップを組み合わせる」
「まちの保健室」
「学校・養護教諭との連携」
「患者が所有するマイ電子カルテの促進」
わたしの住む "まち" をより健康にするには?
「高齢者が自立して暮らしている」
「学ぶ場、集まれる場をつくる」
「本音を話せる場をつくる」
「こどものパワーを利用する」
「学生やこどもが健康のモチベーターとなるブリッジング」
「商店街」「祭り」をいかす
「まちのつながりの起点」
「医療へのアクセスが良いまち」
「友人・家族のような医療者」
最後は、ワールドカフェの話合いの内容をファシリテーターが簡単に発表しました。
「薬局の相談機能を高める、家庭医との連携を強化、テレフォントリアージなど」
「市民と家庭医が出会う機会を増やしたい」
「まちの保健室としての家庭医。カフェのような集まり、高齢者の寄合いに家庭医が参加」
「ゆるいネットワーク作りを。地域の健康問題で家庭医が頼りになることを周知しよう」
「地域の人たちを巻き込んだ医師教育。医学生に対する家庭医療の普及」
「地域での人と人のつながり、環境への働きかけ。自分のまちを知るために対話する」
「地域でどんな医療リソースがあるかを知る。みんなが集まる社交場を作る」
「まちが好きであるという想い、それを共有する場を作る」
「地域で問題を抱えている人が見える環境づくりを」
最後は、主催者の私から「一般の方と医療者がフラットな関係で気軽に対話できるこういう場はまだ少ない。今後、このような会をどんどん広めて行きたいと思っています。自分でやってみたいという方は全面的にサポートします!」という言葉で締めくくりました。
本当に、素晴らしい集まりとなりました
最後に参加者アンケートからの感想を一部紹介します。
ワールドカフェという手法はすごく新鮮に感じ、元の席に帰ってくる時にはホントに旅先で異文化交流をしてきたような錯覚に陥るくらい、360°開かれた感覚を覚えました(音楽関係・会社員)
ふだん、なかなか医学生さんと話す機会がないのですが、彼/彼女たちのキラキラした目やまっすぐな性格の良さに圧倒されました。家庭医の先生方が、こうしたまっすぐな医学生さんにアピールするのだな、と嬉しい気持ちになります(編集者)
地域での人同士のつながりが失われている、と良く言われますがその流れを「家庭医」が変えて欲しい、と本当に思いました。家庭医の認知を目的とした小学校でこどもたち、またはおかあさんと家庭医が話す学校カフェ、どこかの地域へ出かけてその地域の健康づくりを考える出張カフェなどやってはいかがでしょうか(鍼灸師)
家庭医と一緒に活動したいと切に思った。 医療・介護・子育て・環境など、すべてつながっている。分断されてきたこれらを再び結びつけてまちを作っていく。その1つに家庭医という人がいる、そんな社会を思い描きました(理学療法士)
この場を借りて、参加者の方々のすべてに、また運営を手伝ってくれたスタッフのみんな、講演していただいた藤沼先生はじめ、各先生方に御礼もうしあげます。
「9.18家庭医と話そうワールドカフェ」スタッフ:
孫 大輔(北足立生協診療所、「みんくるカフェ」主催)
遠井 敬大(川崎セツルメント診療所、関東家庭医療ネットワーク代表)
密山 要用(王子生協病院 後期研修医、「きたくぶ」主催)
吉本 尚(三重大学医学部附属病院、日本プライマリケア連合学会若手医師部会代表)
長谷川 綾子(株式会社エンパブリック)
主催:医療福祉生協連 家庭医療学開発センター
協力:日本プライマリケア連合学会 若手医師部会