読売テレビの人気番組『たかじんのそこまで言って委員会』の出演者がマスコミ操作を暴露 | 21世紀のケインジアンのブログ

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『たかじんのそこまで言って委員会』という番組をご存じない方のために説明しておくと、この番組は「やしきたかじん」というタレントが委員長(司会)、辛坊治郎が副委員長(サブ司会)。6人のパネリストとゲストが結構タブーに切り込むことで人気の番組である。

http://www.ytv.co.jp/takajin/index.html


なお、「たかじん」の東京で放送するといろんなところから圧力がかかるという考えから、あえて、首都圏では放送せず、関西以西しか放送しないというポリシーを貫いている。そのため、関東のこの番組のファンはわざわざ関西の知り合いに頼んで録画をしてもらい、送ってもらっているという「訳あり」番組である。もちろん、具合の悪い発言は効果音で消したり、部分的にカットされたりはあるが、出演者にも言いたいことを本音で言えると歓迎される番組である。

以下はパネリストの一人である勝谷誠彦が自らのメルマガの中で暴露した内容である。

 6月20日オンエアの『たかじんのそこまで言って委員会』で橋下徹大阪府知事と関西電力をめぐる論議が抹消されました。本来はその中に「橋下さんVS関西電力」のコーナーが1本あったはずなのだ。オンエアされていないとすれば「潰された」わけです。











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 もっと上手にやれよ。発言に効果音をかけていれば済むことでしょう。コーナーを丸ごと潰してしまったならばこうして明らかな事実として残る。

それぞれの地域で電力独裁制度を敷いている電力会社は業界としての「謹慎期間」が過ぎたならばメディアにら対する自分たちの権力がまだ無事であるかどうか、一斉に試してみるだろう。それぞれの地元メディアは踏み絵を踏まされることになる。これまでと同様のカネによる安全の支配をくりかえさせてはいけない。福島の方々の尊い犠牲と忍耐でようやく関東では獲得した電力独裁からのメディアの解放を、他の地域でもなさなくてはいけないのだ。
 そもそも、なぜ電力会社に広告が必要なのだろう。それぞれの地域で電力会社にはライバルはいない。普通の商品ならば「どんどん買って下さい」というものだが、事故以前からどちらかと言えば節電を呼びかけるものの方が多かった。





 電力各社の広告費は「宣伝」ではなく「買収」だったのだ。宣伝部というより総務部がやるような仕事だったのだ。そして大マスコミ、いや大マスコミだけじゃないな。総会屋的なミニコミ誌にもまあ丁寧に電力会社の広告は入っているから業界の皆さんは十分に承知していたことだろう。 そんな中で福島原発の事故は起きた。責任の一端はメディアにもあるということを、今回の読売テレビでの出来事は、自ら告白したに等しいのだ。

 メディアはせめて罪滅ぼしにこうした問題についてもっと本質を報じて、更なる危険に国民が巻き込まれていくことを今度こそ防ぐべきである。

 多くの企業は広告にかける費用とそれによる増収増益をきちんと計算するだろう。そうでないと株主を納得させられないからだ。電力各社の費用対効果はどうだったのか。その間にはまともな相関関係はなかったのではないか。
 ではなぜ電力各社は広告をあんなにじゃぶじゃぶ出してきたかと言えば、今回の読売テレビのような振舞いを大マスコミに期待していたからだと考えられる。カネでメディアを縛り、ライバルに成長しかねないエネルギーについて報じたり、独占体制に疑問をはさんだり、発送電分離などという意見が出たりすることを封じ込めるためである。もちろんコストが安い原発の「安全神話」を続けるためでもあったかが、どちらかといえば独占体制を維持して、競争のない中で世界的に見ても高い電気料金を「高止まり」させ続けることが目的ではなかったか。
 「橋下知事VS関西電力」のコーナーではスタジオでも「大丈夫かなあ」「どうせ使われへんで」などという冗談が飛び交った。出演者も司会者もそれなりの「危うさ」は感じていたのである。しかし合間にそういう冗談をまぶすことは「自己防衛」でもあった。覚悟して話しているということの表明でもあった。関電が因縁をつけてきそうなところには効果音を乗せて、しかし他の部分でこうした表現を流すことで、暗に自主規制を示して皮肉ることでもあった。
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 しかしコーナーを丸々飛ばされるとはさすがに誰も考えていなかった。
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 大きな活字で書いて置きたいが、そこまで配慮するくらい現場のスタッフはちゃんとやるつもりだったのである。関電に土下座してメディアとしての魂を売り飛ばしたのは読売テレビ本体なのだ。勝谷誠彦の、宮崎哲弥の、三宅久之の言説に堂々とスミぬりをして恥じないメディアが先進国たる日本国で大手をふって歩き回っているわけである。
 なぜ電力会社がジャブジャブと政治献金をしてきたか。あるいは支配している大マスコミを使って逆に政治家を脅してきたか。府知事を便利使いするのが当然のようなこの態度がまさに、政官財マスコミの癒着であり力関係を示しているというほかはない。
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 橋下さんは「脅されてから」それに反発してみせた。しかし読売テレビは脅されもしない前に、これまでの走狗の体質そのままに自分から自主規制をした。
 このニュースはもっと大きく報じられていい。電力会社というものがいかに「政治的な存在」であるかをこれほど如実に示した出来事はないからだ。
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 原発が完全に安全であったならば、関電から堂々と福井県知事を説得すればよろしい。それを間に大阪府知事をかませてその政治力を使おうというこの態度そのものが、まさにこれまでの電力と政治とのかかわりを示しているのである。
 <「原発再開働きかけ、関電に頼まれた」橋下知事が明かす>
 http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201106180043.html
 <大阪府の橋下徹知事は18日午前、関西電力から15%節電への協力を求められた際に「(電力消費地の大阪が)福井県に原発の再開をお願いしてほしいとの要請を受けていた」と明かした。府の担当部局を通じて打診があったが、橋下知事が「原発必要論に持っていくための脅しだ」などと反発を強めたため、関電側が要請を取り下げたという。関西空港で報道陣に語った。
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 橋下知事によると、関電に対し原発依存度を下げることや自然エネルギーへの転換についての連携を打診したが、関電側は応じなかったという。知事は21日に関電の八木誠社長と会談する予定で、「府民を代表して関電の姿勢を厳しく追及していく」と述べた。>
 橋下さんは敢えてそこに踏み込んだ。関西電力が突然15パーセントの節電を言い出した裏側には、東電がヘタうったために揺らぎ始めた、地域の独裁者としての権勢を誇示したいうという思惑があると喝破してみせたのである。と同時に原発依存体質からの脱却をめぐって盛り上がりはじめた世論への牽制と「脅し」があることも示唆した。現に、福井県に対して原発再稼働への働きかけを頼んできたとういことまで橋下さんは暴露した。
 企業も個人も唯一の電力会社から電気を止められては立ち行かない。そこで徴集される料金は、実は税金よりも恐ろしい。税金を滞納して競売にかけられるまでは長い手順が必要だが、電気は簡単に止められてしまうのである。国家は権力だから大マスコミはまだしもたまには抵抗してみせる。しかし会社の収入に何パーセントかを確実に広告で落としてくる電力会社に対しては、やがて何もモノを申すことができなくなってきた。
 あ~、これ書いたことで私はもう読売テレビでの仕事はなくなるかも知れないが、なくなったとすればそれそのものがいまの日本国の大マスコミの体質なのである。まさに「絶対安全神話」を押し進め、それをカネによって大マスコミに報じさせて国民を丸ごとダマしていた電力会社やその走狗たる広告代理店の存在そのものを、ここに証拠立てることになるわけで、本望だ。
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幻となった、番組における私のパネルに出るはずの文字は「電力独裁」だった。戦時経済統制の恩恵によって地域独占企業となった電力会社が、戦後はその特権を逆に利用してあたかもその地の独裁者のように振る舞ってきたことを言いたかったのだ。