私は先日、
強度行動障害支援者養成研修(基礎+実践)を
修了しました。
うちの愛娘あーちゃんには
ダウン症があります。
そして思春期を迎えた頃から
少しずつ気持ちの揺れや行動に
変化が見られるようになってきました。
「この子の心の中では、
今いったい何が起きているんだろう?」
そう思った私は
少しでもあーちゃんの世界に近づきたくて
強度行動障害支援者養成研修を受講しました。
そしてその結果、もう……
私の頭の中、カンパカパーン!🍺✨
ってビールでお祝いしたいくらいの
目覚め?悟り?と言ってよいほどの
“学び”があったんですわ!
これはもう私一人の胸の中に
しまっておくのはもったいない!
今まさに悩んでいる
親御さんや支援者の方々にも。
いや、もしかしたら──
街でこのような状態の方と
不意にすれ違った通行人の方々へも。
ちょっとでも「なるほど!」が
届いたらいいなと思って、
今こうしてキーボードを叩いています。
🌱まずはじめに──
支援テクニックじゃなく
心の話を。
この研修では
ABC分析、リフレーミング、PDCAサイクル……
たくさんの大切な考え方や
支援の方法を学びました。
でも今回のブログでは、
あえてその技術的な部分は割愛します。
なぜかというと──
初めて「強度行動障害」という
言葉に出会った人にも
このブログがやさしく届いてほしいから。
実際の支援現場では
一人ひとりの行動の背景や
状況に応じた対応が求められ
とても繊細で専門的な分析と
熟練が必要になります。
だからこそ私は
本当の支援の技術以前に
「私たちはどんな眼差しでその人を見るのか?」
という“心の姿勢”のほうを
まず伝えられたらと思いました。
そしてもうひとつ。
「これが正解です!」って
言い切るような内容ではなく
“支援とは
どういう心で向き合うものなのか”という
私なりの「総括」を書いてみたくなったんです。
だからこれは、専門書ではなくて、
ひとりの母親としての気づきの記録です。
そして、
読んでくださるあなたの心が
少しでもふっと
やわらかくなるきっかけになれたら
私はとってもうれしいです
まず強度行動障害とは?
「強度行動障害」とは、
とても強いかたちで現れる
“困りごと”の状態を指します。
たとえば──
・自分や他人を傷つけてしまうこと
・ものを壊してしまうこと
・強いこだわりや常同行動が
生活に大きく影響すること
こういった行動が
日常生活の中で高い頻度で現れ
本人や周囲の人にとって
深刻な困りごとになっている状態
のことを言います。
ここで大事なのは
これは「障害名」ではなく
「状態」であるということ。
「その子が元々そういう子なのではなく、
いま困っている“状態”が続いているんだ」
という視点で関わることが、
支援の第一歩になります。
けれど──それは
「困った子」なのではなく
「困っている子」なんだという視点を
何度も何度も研修で学びました。
その学びの中でふと私は大好きな哲学者
アランの「幸福論」を思い出しました。
「幸福論」の中に
アレクサンドロス大王が
暴れ馬・ブケファラスを乗りこなす
こんなエピソードが紹介されています。
誰も乗れなかった名馬・ブケファラス。
アレクサンドロスは馬が
“自分の影”を怖がっていることに気づき、
太陽の方を向かせることで、暴れなくなった。
この話がまるで
研修で学んだ支援のあり方と重なって
胸がじんわりあたたかくなりました。
「暴れるのは“性格”のせいじゃない。
その子の中に“見えている影”が
あるだけかもしれない。」
そんなことを考えていたら
もうひとつ
私の中にやさしい記憶が蘇りました。
それは、天国の母が生前に教えてくれた
アランのプロポ(エッセイ)の一節でした。
赤ちゃんがなかなか泣きやまないとき
乳母は「この子は気難しい」とか
「父親に似たんだ」とか
いろんな理由を想像するんだけど
ほんとうの原因は──
「オムツの中にピンが刺さってただけ」だった
というお話。
母は私にこう言いました。
「これもアランの考え方なのよ。
ほら、“人は思い込みじゃなく
ほんとうの原因を見つけることが大事”って
そういうやつよ。
おしゃべりできないものにこそ
心の声に耳をよーく傾けてあげること。
赤ちゃんも、あーちゃんも、ね。」
母が残してくれたこの言葉が
ずっと心の奥にしまわれていたことに
私は今回の研修で気づかされました。
いや、もしかしたら──
天国の母よ。
あなたはもうすでに、
その生き様を通して私に、
強度行動障害の支援とは何かを
そっと、静かに
教えてくれていたのではないか!
そう思った瞬間、
研修で学んだすべての知識と
母との思い出が
一本の糸でつながって
心の奥が「カンパカパーン!🍺✨」って
鳴った気がしました。
親って‥‥
ありがたいもんですね
私たちはときどき
「あの子はわがままだから」
「あの人は性格がきついから」と
“思い込み”で人の行動を解釈してしまいがち。
でも、もしかしたらそこには──
「ピン」が刺さっているだけなのかもしれない。
原因があるなら、それを見つけて
そっと取り除いてあげればいい。
きっとそこから、関係も未来も
やさしく変わっていける。
そんな学びを与えられた研修でした。
🌿それでも、日々は
決してたやすくはないから
そうはいっても──
強度行動障害と向き合う日々は、
決してたやすいものではないことも
私は知っています。
私自身も、あーちゃんとの暮らしの中で
泣きたくなるような日も
どうすればいいかわからず
思考停止してしまう日もあるから。
(まぁそれでもほとんどは良い子です)
今回この研修を受けながら
私は改めて思いました。
それは
「当事者の方々の心に、もっと寄り添いたい」
という気持ちと同時に──
日々向き合っている親御さん、
支援者の皆さんへの感謝と敬意が
心から溢れてきたということ。
毎日悩みながら
試行錯誤しながら
ときには言葉にならない苦しさを抱えながらも
「その人らしい暮らし」を
信じて支え続けている。
その姿に私は
ただただ頭が下がる思いでいっぱいです‥‥。
それが、どれほど尊い営みであるか。
あらためて──
ありがとうございます
そして、今回の研修を通じて出会えた
たくさんの受講者の皆さんにふれあい
「またひとり、理解者が増えていくのだ」
そう思えたことが
私はとてもとても、うれしかったのです。
そしてもうひとつ
私は気がついたことがあります。
🌼驚いた人の心にも、
まなざしを向けるということ
強度行動障害という言葉や状態に
まだ馴染みのない方が
困った行動に驚いたり、戸惑ったりするのは
それもまた、ごく自然なことだと思います。
むしろ、「びっくりしてしまった」「怖かった」
という気持ちを持つのは
とても人間らしく、正直な反応です。
中には、そうした場面が心に残って
小さなトラウマのように
なってしまった方もいるかもしれません。
だからこそ私は、
そういう“心が反応した人”の気持ちにも
ちゃんと寄り添える人でありたい。
支援とは
「特別な人のため」だけのものではなくて
その場にいたすべての人の心を
まもることでもあるのだと
今回の研修を通して、深く感じました。
🕊️そして、未来へ──
この研修で得た学びは、
まだ小さな種かもしれません。
でも、いつかこの学びを、
誰かの心に寄り添える
“やさしい翼”に変えられるように。
私はこれからも、
焦らず、丁寧に、
そして感謝を忘れずに、
精進して生きていこうと思います。
あなたのそばにも、
「理由がわからない行動」の裏に
小さな“ピン”が
隠れているかもしれません。
その声なき声に
そっと耳を澄ませてみてください。
それがこの研修を受けた
私からの願いです。
長文を最後までお付き合いいただき
本当にありがとうございました