5月31日、日本最古のデパート屋上遊園地が営業を終了しました。
東京 浅草の松屋デパートの屋上遊園地です。
1931年の松屋オープン時から、親子連れなどに親しまれてきましたが、不況による来客数の減少で売り場の縮小を決めたこと等により、屋上遊園地も閉鎖が決まったのです。
全国のデパートが、屋上遊園地を始めるきっかけとなった松屋浅草店の屋上を、最終日に訪ねました。
10時の開店直後とあって、まだ人もまばら。
そこで、友人の「むびちゃん」と一緒に取材です。
インタビューは、むびちゃんにお願いしました。
考えてみれば、最近のデパートでこういう屋上がある所は減りましたよね。
ここは、約2650㎡と言いますから、けっこう大きいスペースです。
そこに、20種類以上のアトラクションがあります。
細かく見て行きましょうか。
新幹線の懐かしい0系風から、なんとクルーザーまで…男の子は釘付けですよね。
― あの、すいません
振り向くとそこには、かわいい小鹿ちゃんが座っていました。すかさずマイクを差し出すむびちゃん。
(小鹿) ― あの、この遊園地は今日までなんですけど、ご存知ですよね。
(むび) ― はい、その為に今日は取材に来たんですよ。
(小鹿) ― そうですか…。毎日たくさんの人が来るんですけど、みんな私達よりもあっちが気になるようで…。
顔を上げると、そこには例のアレが…そう、東京スカイツリーですね。
いや、小鹿ちゃん、ちゃんと私達は遊園地を取材するから大丈夫だよ。
― あー、ちょっとちょっと。
はいはい?
(金魚) ― うちらの事もちゃんと写して行ってよ。うちらも、ここ長いんだから。
はいはい。しかし、この淀んだ池を回るアトラクションに、自分の子供を乗せたくないなぁ…。
子供のはしゃぐ声に混じって、大人の声も聞こえています。
馬さんもちょっと怒っていますが、いや、今日で最後ですから許してくださいな。
いわゆるゴーカート的な乗り物も、お子様に人気です。
周辺をよく見ると、いつも子供達の喜ぶものを用意してきたんだなぁと改めて感じます。
たくさんの子供達が、楽しんだんでしょうね。
そして、反対側に目をやると、広々とした空間。
小さなステージと、おそらく夏のビアガーデンの名残の提灯のプラグ。
デパートの屋上につきものの、お稲荷さんもあります。
がらんとした雰囲気が、なおさら切ない感じです。
反対側に、ちょっとかわいらしい乗り物がありました。行ってみましょう。
(むび) ― こんにちは!!
(ロボ) ― あ、あの… なんで今日はこんなに人がいるんですかね?
(むび) ― え?それはやっぱり、営業最後の日だからじゃないですか?
(ロボ) ― ええええ?
(むび) ― 知らなかったんですか?
(ロボ) ― 知らなかった…。頭のてっぺん怪我して、やっと帰ってきた所でしたから。
(むび) ― お気の毒ですけれど、今日で閉鎖になるんですって。
(ロボ) ― ☆○△※×…。
さて、反対側のゲームコーナーへ行って見ましょう。
ちょっと最近やっていないようなゲームもありますよ。
モグラってこんな切ない顔してましたっけ?なんか叩くのが申し訳ない感じです。
― あのー、もしもし?
ふりむくと、こんな人が立っていました。
綿あめ製造ロボくんでした。
(ロボ) ― 今日は最後を見に来てくださって、ありがとうございます。
(むび) ― ロボさんは、ここに来て長いのですか?
(ロボ) ― もう忘れてしまうくらい、昔の事です。
(むび) ― では、今日でおしまいなんて、さみしいですね。
(ロボ) ― 時の流れは、誰にも止められませんからね。
みなさんの心の中に、楽しい思い出として残ればいいんですよ。
(むび) ― そんな…(涙)
(ロボ) ― 泣かないで。最後は楽しい思い出で終わりましょう。
(ロボ) ― ほら、見てごらん。スカイツリーもあんなに高くなった。
スカイツリーが完成した時、あそこから浅草を見て、僕や仲間たちを思い出してね。
今までありがとう。
浅草 松屋デパート、屋上遊園地の仲間たち。
若干の妄想を含めてお届けしましたが、いかがでしたか?
最後は、屋上遊園地の治安を守り続けたこの人でお別れです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
おしまい