脚本・演出 田辺剛
出演 河合良平、筒井加寿子、大熊ねこ、高杉征司、川面千晶
AI HALL 24日14:00開演 自由席(4列目で観劇)。
あらすじ
2009年に初演され話題を呼んだ『人魚』の再演。
登場人物を増やし、奥行きを増した。
寓話のような異世界の物語。
知らない時代の、遠い世界の話。
とある漁村では、ついに人魚を捕まえることに成功した。
近年、村の漁師が海に出るたびに行方不明になっており
それが人魚の仕業だった。
沖合の小島を漁師が通りかかると、
どこからともなく歌が聞こえてくる。
その歌に誘われて行くとそのまま帰ってこなくなるらしい。
村は漁師を次々に失い存亡の危機に立っていたのだ。
捕まえられた人魚は、
ある兄妹の家にとりあえず置かれることになったが、
それはふてぶてしい態度で、
どこから美声がと思われるような女だった。
まずは飯を食わせろと人魚は言う。
なんだか寒い、着るものはないのか。
陸地に上がって歌えるわけないじゃないか。
頼りにならない兄のせいで世話をすることになった妹はほとんど参っていた。
人魚は捕まったのに、不漁は続く。
空はあんなに青いのに、皆の表情はいまいちだ。
2009年初演/第17回OMS戯曲賞(2010年)最終候補作品
(劇団ブログより)
『人魚』再演にあたって
もともと四人だった登場人物を一人増やせば
脚本の書き直しはいよいよ避けられず、
けれどもそのくらいの仕掛けをもって再演に臨もうと思ったのは、
もちろん初演の反省もあるけれど、
初演時と今とでは周りの状況がずいぶんと変わったからだ。
強度というか奥行きというか、「物語」のありようを疑いつつ、
ちゃんとするという言い方もどうかと思うが、
そのように創作しなければ、
この圧倒するような現実の前で演劇は無力なままではないかと思う。
地元の京都を離れて公演をするこの機会に、
ふだんは会えないようなさまざまな人と、そ
ういう話もふざけた話もいろいろしたい。
観に来てくれた人ともそうだし、
今回すべての回にゲストを招いてトークイベントをするのもそうした思いからだ。
(田辺剛 談)
下鴨車窓 #8 京都芸術センター制作支援事業、「人魚」。
(後日追記)