ミキミキ日記

ミキミキ日記

俳優・自主映画監督(只今準備中)である三木美毅による日記。

Amebaでブログを始めよう!
▪︎11月11日(水)
川越スカラ座へ足を運ぶ。今夏ロードショーされたが見逃していた大崎彰監督作品『お盆の弟』を観るためだ。来月大崎監督のWSに参加することになったので予習いや礼儀である。
初めて行った川越は小江戸情緒ある街で、観光も兼ねたちょっとした小旅行だった。しかもこの川越スカラ座というのが埼玉県下最古の映画館だそうで、老舗の味わい深い雰囲気が素晴らしいかった。ただ昼間の15時半お客は私一人という寂しさ。それでも映画は映画館で観るのが一番良い。
これからも映画館に傾倒して行きたい。

▪︎11月13日(金)
待ちに待ったパルコ劇場『オレアナ』を観た。
私にとってはちょっと因縁めいた公演でもある。
本来なら来月に私の制作と出演で、このデイビッド・マメットの衝撃作を公演する予定だったのが、パルコ劇場のために上演権が得られず、泣く泣く延期となってしまったからだ。仕方があるまいタイミングの問題である。
さて感想だが、確かに不可解で納得し難い結末の作品ではあるが、あれでは出演者二人の演技行為が何か「他人事」過ぎないか?もう少し観客に「我々の事」と感じさせられなかっただろうか?
教授の研究室を模した舞台セット美術が素晴らしく、セット上手から下手にかけて傾斜を上げてあった。劇が進行して行くにつれ二人の権力のバランスが逆転するのを、傾斜を付けた部屋の中で役者の立ち位置によって見事に視覚化させている。そしてこの傾斜が不条理で歪んだ現代社会に我々は生きているのだという象徴としても受け取れるのであった。
だから尚更ちょっと「他人事」感なのが惜しい気がしたのだ。
難易度高い芝居を更に自らハードルを上げたことに今気付いた。やばいこりゃ大変だぞ、でもやってやろうじゃないか。

▪︎11月15日(日)
昨夜の舞台セットの傾斜が条理を欠いた人間社会の象徴ならば、イメージは例の傾斜マンション問題に飛躍してしまう。あれは下請け業者だけの責任ではなく売主にも責任があるはずだ。やっぱり様々な諸問題の根本は人間性の低下であり、社会や時代全体も傾きかけているのか?
なんて想像してたら、今朝のニュースでパリ同時多発テロを知った。世界は傾いている。