サウスバウンド


サウスバウンド 奥田英朗/著  読了。


出版社 / 著者からの内容紹介
僕の父さんは元過激派とかいうやつで、いつも家にいて小説を書いている。学校なんか行く必要ないとか言うのだけれだけれど……。少年の視点を通して、変わり者の父に翻弄される家族を描く、長編大傑作!


著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
奥田 英朗
1959年岐阜県生まれ。98年『ウランバーナの森』で作家デビュー。2002年『邪魔』で第4回大藪春彦賞を、04年『空中ブランコ』で第131回直木賞を受賞


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 奥田英朗の最新刊!待っていました!ってかんじです。


 読んで一言。「面白い!」の一言です。元過激派で無職の変わり者と世間では呼ばれている父を持つ小学生の二郎が主人公。


 第一部が東京での二郎一家。不良中学生とのけんかなど、二郎の生活が中心。ここまではまぁ想像できる内容だったけど、第二部に舞台が沖縄の西表島に移ってからは、がぜん、物語は面白くなる。


 東京では喫茶店経営で一家を支える耐える女・妻のように見えた母が、元過激派の顔を見せ始め、父に反抗的だった姉もじょじょに島で開放的になっていき、ストーリー展開はいきおいを増す。


 二郎からみて、無職でただ家でだらだらしているだけのように見えた父も島ではたくましい。父のとる数々の過激な行動も島の人たちをまきこんで、(いや、本当は父はまきこまれたんだけど・・・その辺は小説を読んでいただいて・・・)どんどんヒートアップしていき、最終的には・・・。


 登場人物のキャラクターがすばらしい。魅力的な父・一郎や母・さくら(これって「さくらと一郎」!奥田さん・・・)に島の人々。


 この小説の醍醐味は第二部なんだろうけど、第一部の東京での二郎の不良中学生との争いも面白かった。小学生の世界の閉塞感が伝わってきた。


 とにかくめちゃくちゃ面白い小説でした。


 余談ですが、うちの父は一郎に似ています。元過激派ではないけれど。そして、父・一郎と息子・二郎の距離感がすてきだ。息子を持つ父親世代にも読んで欲しいかんじ。