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すみませんが、しばらく開店休業状態になります。


おいらの中ではゼロリナは永遠に好きです。


書きたい気持ちもありますが、時間が……。


オンリーイベント前、秋頃には復帰したいと思ってます。


誠に勝手ですが、長い目で見守っていただけると嬉しいです。




みかん




特訓日和



レストランの後ろ、北側にある小さめの庭には人気がなかった。
今の時間は直接太陽があたらないせいか、空気も少しひんやりしている。


そこにオレとチビは木剣を手に向かいあった。


チビは肩までの黒髪を後ろで束ね、紅い瞳の、見た目は3、4歳。
因みにオレはさらさらした淡い青の髪に、深い青の瞳で、年は9歳。


「じゃあ、とりあえず適当に打ち込んで!」
「あい!よろしくおねがいしましゅ」
「……よろしくお願いします」


黒髪のウェイトレスさんの言葉を聞き、チビがオレに頭を下げる。オレも慌てて、頭を下げる。
前を向いたまま五歩ほど後ろにさがって、木剣を構えた。


「ラナ、がんばれー!」


背後から、庭の端にある花壇の縁に腰掛けて見物をしている女の人の声。


いい感じに力の抜けた、きれいな構えのチビ。

黒髪のウェイトレスさんに―ルナさん―に剣を教えてもらうためにも、こんなチビに負けられない。


右足を後ろでぐっとためてから、オレは突っ込んだ。髪が後ろに引っ張られる感覚。


小気味いい音を響かせて木剣がぶつかる。
そのまま流して首を狙うが駄目。木剣を垂直に当てて防がれた。
ぎりぎりと押し合う。ものすごい近い位置で視線がぶつかる。紅い瞳からは、何も読めない。

思いっきり膝蹴りして一歩後ろに下がらせて、間髪入れずに利き手を襲った。
しかし、絶妙のタイミングではじかれて、むしろこっちが仰け反ってしまう。負けじと反動で左肩に打ち込んだ。


カッ!!!


……体勢を崩しもせずに止めた。畜生!

オレは後ろにステップして間合いを取って、最初の位置に戻った。


「…結構やるな」
「あい」


本格的に習っているんだろう。多分、ルナさんに。
チビのくせに。息も乱していない。


すっ……と一呼吸で間合いを詰められた。まっすぐ正面に打ち込まれた剣を、慌てて受ける。
やっぱり力は、オレよりも弱い。


コン、ガッ!カン…カ!ごっ カ、ガン!!


防御に勤しむオレをあざ笑うように、二振りの木剣が不規則なリズムを刻む。
右脇腹、こめかみ、一歩引いて左膝、鎖骨のくぼみ。こっちが踏み込んだら腹の真ん中、そして肘の先。
表情を変えず、チビはただただ狙ってきた。容赦がない。攻撃に転じれない。こっちの集中力が持たない。


――怖い。


気が付けば、押されて花壇の傍まで下がっていた。一気に焦る。チビが迫る。

その時、チビが何かに足を取られてよろめいた。
咄嗟に力いっぱい上段から振り下ろす。至近距離!もらった!!


一瞬で――。


チビはオレの視界から消えた。
自分の剣が下から突き上げられて飛んでいくのが、見えた。
やられた。後はきっと喉元に一撃だろう。
オレは、衝撃と悔しさと後悔に耐えるため歯を食いしばった。


「っ!!!………ん、ぁ?」


……チビは。
木剣を持ったまま、オレの一歩手前の地面にぺったり張り付いていた。


な…なっ??


「なんだよ。リアルすぎなんだよ、そのフェイントっ。ほんとに転ぶんじゃねぇよ!!」
「……いたい…でしゅ」
「本当に躓いたみたいね。この小石に」
「じゃあ、なんでオレの剣が吹っ飛んだんですか!」
「偶然ラナの剣がぶつかったみたいね」
「えええええ……」


ルナさんの解説にオレは驚きの声をあげる。
しかし……このチビ、最悪だ。なんてヤな場所ばかり正確に狙ってくるんだ!防ぎにくいったらないじゃん。
力より技術のタイプ。腹立つ!オレ、こういう攻め方一番苦手だ。


「ラナ、鼻のてっぺん擦り剥けて血が出てるわよ」
「あう?……いたいでしゅ」
「ほら、治してあげる」


花壇の縁に腰掛けて見物をしていた女の人―多分チビの母親―が即座にチビの腕を掴んで引っ張り起こしてから、顔の前に手をかざし、回復魔法をかけようした。
その時―。


バシッ!バシッ!


ルナさんがチビと女の人の…お尻を…叩いた。


「あう!?」
「ね、姉ちゃん…な、何?」
「こんなかすり傷で回復呪文なんて使うんじゃないわよ」


ルナさんは腰に手をあて、二人を睨みつける。………こ、怖い。


「ラナ」
「……あい?」


チビを手招きして、近づいてきたところでお尻をぺしり。


「詰めが甘い」
「……あい」
「あんな石ころ一つで、転ぶなんて下半身が柔な証拠」
「……あい」
「後日、特別メニューをやらせるから、覚悟してなさい」」
「……あい」


一言言うたびにお尻をぺしり。怖い。
女の人は止めたそうにしているが、何もできないみたいだ。これがトラウマという奴か。
チビの年でこれだけ動けたら十分だと思うのに、ルナさんは容赦ない。


数分後。ルナさんのお説教はようやく終った。
ルナさんから解放されたチビは女の人の元へいき、抱きつく。女の人はチビを抱き上げ、何か言いながら、頭を撫でる。笑顔を浮かべるチビ。


あー、この辺りは年相応だな。
っていうか、チビ、その笑顔はなんだよ。試合中とのギャップがすげぇよ…。


「水曜日と金曜日」
「……え?」


いつの間にかオレの傍に近づいていたルナさんは一言だけ言うと、レストランの方へと歩いていった。
一体、今のはなんだったんだろう?


「気に入られたみたいね」
「……え?」


声のした方を見るとチビを抱いた女の人がオレをみて、にっこり笑っていた。


「姉ちゃんが他人に稽古をつけるなんて、滅多にないことよ」
「…そ、それって…」


女の人の言葉に思わず、オレは笑顔を浮かべる。
そんなオレにチビは眠たそうな顔で


「これからも…よろしくおねがいしましゅ」


と言った。



それから数ヶ月。
オレとチビ…いや、ラナは今日も一緒に剣の稽古をしている。


因みにオレとラナの戦績は剣だけなら、オレの方が強い!




*** 後書き ***


お、お久しぶりでございます。

只今、他ジャンルに絶賛浮気中のみかんです。

別にゼロリナ熱が冷めたわけではない。


因みに他ジャンルでも人外×人間です。


子供の日ということで、ラナくんとそのお友達のお話です。

戦闘シーン?をこんなに書いたのは多分始めてです。




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愛を確かめる



抵抗する間も与えず、か細い腕を掴み、彼女をベッドに投げて馬乗りの体勢を作る。小刻みに震える体が怯えてる事を教えてくれるが、見下ろす彼は気味が悪い程の美しい表情を浮かべ、彼女の腕を栗色の髪の上で一つに纏めた。


「ゼロス…ッ!」

「リナさん…まだ分からないんでうか?あなたは誰のモノですか?」


空いてる手で昨日の行為で残した首筋の痕をそっと撫でながら問う声はとても低く恐怖を煽る。ゼロスが人より嫉妬深く独占欲が強いのは知っているし、付き合い始めた当初は愛されてると思えて、嫉妬心も独占欲も心地よかったが、今の常識を逸してる感情は恐怖以外何も感じない。

異性の仲間と少し体の接触があっただけで冷たい瞳で射抜かれる――流石に人前ではいつものゼロスを演じるが、二人きりになると隠された感情を露わにするのだ。


「いっそ…あなたを監禁でもしましょうか?そうすればずっと僕だけがリナさんを見ていられますしね」

「嫌…っ!!」


監禁という言葉に反応し自分を押さえつけるゼロスの手を振り払おうとするが、男の力に勝てるはずなく失敗に終わる。抵抗にすらなってない行動をまるで楽しむように笑うと紅い瞳にうっすらと浮かぶ涙を痕に触れていた指で拭う。


「あなたは僕のモノなんですよ、リナさん…」


誰も触れる事は許さない。その綺麗な心もそれを収める躰も全て僕のモノ―――耳元で囁かれる束縛の言葉に抗う術を持たないリナはただそれを受け入れるしかない。止まらない綺麗な涙を再度拭うとゼロスはもうリナが抵抗しないと判断し、拘束していた両手を自由にしてやる。


「リナさんに質問です。…あなたは…誰のモノですか?」

「……あたしは……あたしだけのモノよ!!」


――どげしっっっ。


自由になった途端、ゼロスの鳩尾へ華奢な――だが、攻撃力抜群の――パンチを繰り出すリナ。


「酷いです、リナさん。痛いじゃないですか~」
「痛いって……あんたね……。大体、あんただって、いつまでも獣王にベッタリじゃないの!そんな分際で何、ふざけたことぬかしてんのよ。いい加減にしないと、神滅斬で三枚に下ろすわよっ!?」


鋭い口調は、まんざら脅しというわけではないらしい。


「……はぁー…やっぱりリナさんには敵いませんね」
「当たり前でしょう!あたしを一体誰だと思ってんのよ?」
「自称天才美少女魔道士で、僕の恋人です♪」


ゼロスは口元に綺麗な弧を浮かべながら言うと、キスをする。リナを貪るように何度も…何度も。




*** 後書き ***


今日は4月10日で『嫉妬の日』だそうで。


ということで、嫉妬な話。


ちょっとダークな感じを目指しました。




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ひな祭り



「おっはよー、アメリ…ア?」
「あ、リナさん、おはようございます!」


朝から元気いっぱいな笑みを浮かべるアメリア。
その笑顔はいつも通りなのだが。…しかし。


「ソレ…何?」


アメリアが手にしている人形を指差し、リナは首を傾げる。


可愛いと表するには、やや不気味な細目。
おちょぼ口に真っ赤に塗られた唇。
頭には金色の飾りのようなものが突き刺さっており。
その黒髪はひとつに纏められて後ろへ。


「あぁ、これですか?遠い東の国の人形らしいですよ」


“盗賊さんたちのお宝に紛れ込んでいたんですよ”…と、その人形を台へ置く。


人形とセットらしいその台はまるで小さな階段のような奇妙な形をしており。
更に、台全体に掛けられているのは、鮮やかな朱色の布。


はっきり言ってしまえば。―…全体的にちょっと不気味だ。


「雛人形って言うらしいです」
「雛人形?」
「はい。女の子のお祝いに飾るものなんだそうです」
「へー…」


(お祝いだと言う割には、不気味ね)


真っ白でのっぺりとした顔に、真っ赤な唇。
夜、薄暗い所で見てしまったら確実に悪夢として現れそうな表情。


―…どうせならもっと可愛い人形にすればいいのに。


(違う国には不思議な習性があるもんね)


改めてその人形を見てみようと顔を寄せる。…その時。


「うわっ、なんだコレ!」
「…何だか夢に出そうだな」


反射的に振り向けば。
興味津々とばかりに指で人形を突くガウリイと、眉を顰めて遠巻きに見つめるゼルガディス。


「ガウリイさん、壊れやすいですから触らないように」


そんなガウリイの手をゼロスがひょいと持ち上げ――…って。


「ゼロス…あんた、また来たの…」
「おはようございます。リナさん」
「“おはよう”じゃないっ!あんた仕事はどうしたのよ?」
「えー?だって、愛しいリナさんに会いたかったですし?」


にこり、と浮かべられたゼロスの笑顔に、リナは何を言っても無駄だとため息をつく。


(少なくとも、一週間くらいは来れないって言ってたハズなのに)


じろりと睨み付けるリナの視線など、どこ吹く風。


「アメリアさん。雛人形、飾るのはいいですけど、片付けるのを忘れちゃダメですよ?」
「はい?どうしてですか?」
「雛人形には、ジンクスがありますから」
「…ジンクス?」


何だか面白そうな言葉に、今度はリナがゼロスへと食らい付く。
先ほどまでの呆れ顔から一転、わくわくとした表情を浮かべたリナにゼロスは思わず破顔した。


(本当に素直というかなんと言うか―…)


あなたがそんな風だから、ちょっかいかけたくなるんですよ。
不可抗力。仕方がない。僕のせいじゃないです。


「…ゼロス?」


覗き込んできた顔に、慌てて、にこりと笑顔を返す。
訝しげな表情を浮かべたリナが口を開くより早く。


「婚期が遅れるんですよ」
「え?」
「雛人形を仕舞うのが遅くなると」
「ええええー!!」


驚き、目を見開くアメリアとぽかーんとするリナ。


―――こんな人形ぐらいでそんな事、とは思うけど。


「婚期が遅れるのはイヤですぅ…」


改めて、アメリアはその妖しい人形達をぐるりと見回す。


(そんなジンクスがあるんなら、飾らなきゃいいのに)


遙か遠い東の国の事を考え、リナはただ首を傾げるだけだった。


「ま、でもリナさんはそんなジンクス、心配いらないですよね」


うんうんと、何やらひとり満足げな笑顔を浮かべるゼロス。


「…何よ。結婚できないとでも言いたい訳?」


じろり、とリナが睨み付け、詰め寄ろうとする前に――…。


「リナは結婚なんて必要ないよな!」


ぽん、と肩を叩いてきたノーテンキなガウリイの声に。


「余計なお世話っ!」


ぷち、と切れたリナが、見事なアッパーを食らわせた。



リナさんに、ジンクスなんか関係ない。
僕が必ず、あなたを迎えに行くのだから。


だから。安心してくださいね。――…リナさん。


ゼロスはガウリイに見事なアッパーを喰らわせたリナを、そっと見つめた。




*** 後書き ***


今日は楽しい雛祭り~♪


間にあってよかったです(笑)




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