人通りの少ない道を歩く時、何度となく振り返りながら歩く。


男の人が3メートルと離れずに後ろを歩いている場合、


私は立ち止まり、その人が私を追い越すのを待つ。


いわゆる、トラウマってやつなのだろうか?


こんな経験から始まった私の癖。




中学1年の時、


ひったくりに襲われた。


日中、人通りの少ない細い路地を1人で歩いている時、


いきなり背後から近づいてきた男に口をふさがれ、


ズルズルと横道まで引きずられ


押し倒された。


私の頭の中は真っ白!!恐怖というより、


「私は死ぬんだ・・・。」って思った。。。


次に覚えているのは


男が私の持っていたバックを奪って逃げていく後ろ姿。


その後の私の行動を話すと皆にビックリされるのだが、


なんと、私はその男を駆け足で追った!!


「泥棒~!!!誰か捕まえて!!」


誰一人その道を歩いている人は居なかったが、


振り返った犯人は叫びながら追っかけてくる私の姿を見てかなり驚いたのであろう


奪ったバックを投げ捨て、道に止めてあった自転車に乗って


逃げてしまった。。。


私はしばし、


バックを拾ったままただ呆然としていた・・。


これは夢??一体私に何が起きたの??


「どうしたの?大丈夫?」


通りかかりのおばさんに声を掛けられた。


「あのっ、いまひったくりにあったんです。」


「え~!!警察行った方がいいわよ。怪我大丈夫?」


えっ?怪我?


おばさんに言われるまで痛さに気が付かなかったが、


鼻の頭には引っかき傷、


右手の甲はすりむけ、血が出ていた。


多分、引きずられて押し倒された時に出来た傷だろう・・。



私はそのまま家に帰った。


さっき確かに自分の身の上に起きた事だが、まだ中学1年の私にとって


それを理解するには時間が必要だった。


ましてや警察に1人で行くなんて、現実離れしているようで怖かった・・。


私の傷付いた顔を見て母は驚いた。


何が起きたか話すと益々驚いたが、


「乱暴されないで済んだだけ良かった。」と言われた(確かにね・・)


次の日、母と一緒に警察へ行き、被害届けを提出した。


犯人の特徴、顔や背丈、年齢等を聞かれたが、


男。


軍手をしていた。(口をふさがれた時にはっきり見た)


って事意外何も覚えていなかった。


押し倒された時、確かに顔は見ているはずなんだけど、


恐怖の余り、記憶から削除されてしまったようだ。



警察からは


「犯人らしき人物が捕まったら顔を確認していただきたいので連絡します」


と言われたが、その後何の音沙汰も無いまま今日に至る。



今日も私は人通りの少ない道を振り返りながら歩いてきた。