魔道師の月 乾石智子 | ちわ☆わんつーmemory 

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日々の忘れたくないこと

魔道師の月読了
『夜の写本師』では始めケルシュという名で登場したキアルス
アンジストにかなわないと、早々に逃げだした時には「なんて奴だ」と思いましたが、
あの作品では読み進むうちにだんだんその印象が変り、この「魔道師の月」では好感度がぐっとアップしたかな
魔道師の月/乾石 智子
¥2,100 Amazon.co.jp
内容紹介
こんなにも禍々しく、これほど強烈な悪意を発散する怖ろしい太古の闇に、なぜ誰も気づかないのか…。繁栄と平和を謳歌するコンスル帝国の皇帝のもとに、ある日献上された幸運のお守り「暗樹」
だが、それは次第に帝国の中枢を蝕みはじめる。コンスル帝国お抱えの大地の魔道師でありながら、自らのうちに闇をもたぬ稀有な存在レイサンダー。大切な少女の悲惨な死を防げず、おのれの無力さと喪失感にうちのめされている書物の魔道師キアルス。若きふたりの魔道師の、そして四百年の昔、すべてを賭して闇と戦ったひとりの青年の運命が、時を超えて交錯する。人々の心に潜み棲み、破滅に導く太古の闇を退けることはかなうのか?

シルヴァインの死で自分を責め、自暴自棄になったキアルスは「タージの歌謡集」を焼いてしまう。
やがて、その歌謡集が世界にたった1冊しかないことを知ったキアルスは思い出しながら復元を試みる
歌謡集を作ったとされるテイバドールの織り込まれたタペストリーの世界へ入り込んだキアルスはテイバドールの一生を追体験することで暗樹を倒さなければならないことを知った。
キアルスは戻って来た世界で「タゼンの歌謡集」を完成させる。

キアルスと似た風貌からキアルスが間違えられたレイサンダーも暗樹が邪悪の根源だと見破っていた。
二人の若い魔道師は力を合わせて暗樹を退ける方法を探る。

ここで魔道というものはいろいろ出て来ます。
土地に根付いた魔法もあるし
キアルスが完成させた魔法の本を使う魔道やレイサンダーのように大地の魔道師
動物と心を通わし、動物を使うことのできる魔女カーランといったように魔道でも得意、不得意があるのは興味深いですね。

そして『夜の写本師』でもあった他人の人生を追体験するパターン
1冊の本で2種類の物語を読めてしまう手法です。
そのどちらの話もしっかりした構成で、それを追体験によって成長していく主人公

レイサンダーの雇い主であるガウザスは闇樹に囚われますが、
暗を持たない魔道師レイサンダー!?
“暗”は誰でもが心の中に持っているものではないのだろうか…

それを実在の物として存在させた話になっていますけど。
この辺りはどう解釈すればいいのか悩むところです。

単純にファンタジーとして物語の世界観のおもしろさは抜群でした~