美人薄命 深水黎一郎 | ちわ☆わんつーmemory 

ちわ☆わんつーmemory 

日々の忘れたくないこと

美人薄命読了
タイトルの言葉に思い入れがあります。
高校時代の友人が三十代で胃がんで亡くなった時、同じグループの友人がお葬式で
「美人薄命って本当だね」
冗談で高校時代に、このことばを使ったことが多かった私たち
実際にその中の一人が亡くなって。。。
この言葉を聞くと、あの二人を思い出す。
美人薄命/深水 黎一郎
¥1,575 Amazon.co.jp
内容紹介
孤独に暮らす老婆と出会った大学生の総司。
家族を失い、片方の目の視力を失い、貧しい生活を送る老婆は、将来を約束していた人と死に別れる前日のことを語り始める。残酷な運命によって引き裂かれた男との話には、総司の人生をも変えるある秘密が隠されていた―。
礒田総司の自己紹介は「沖田総司と一字違いです」
この言葉でどこの集団へも入っていきやすい。
総司が進級のために選んだフィールドワーク、お年寄りへお弁当を宅配するボランティア団体の面々ともスムーズに馴染んだ。

84歳のカエ婆さんと22歳の総司
お弁当を届けた先で知り合った二人
そのおばあちゃん。冗談を真顔で言って、明るくて

(お迎えが来るまで)
「美人薄命っていうから、もう少しの辛抱かのぉ」
総司に向かって84歳がさらっと、こんなことばを言う

やがて、カエさんの過去を知った総司の内面で変化が起こる。


最初のうちはお弁当の宅配風景
それぞれ歳をとると、そんな状況になるのか。。。リアルなシーン
でも暗い話じゃありません。 実情ってきっとこんなこともあるんだろうな~と思う内容で、けっこう笑いも多いです。
却ってカエさんの若い頃の話が辛い
戦争真っ最中の青春時代

カミカゼ、零戦は有名ですが、船でも自爆した若者たちがいたことを細かく知る機会になりました。
船とも呼べないような乗り物で、大きな敵船に体当たりしていく。。。

二人の心の交流を描いただけの作品ではありませんでした。

…総司のような若者が、戦争の事を真剣に知ろうとするかな?…
なんて思って、
【ちょっと鼻につく描き方だな。。。戦争の悲惨な状況を描きたいということかな。偽善に見えるなぁ~】
と悪く捉えてみたりもしましたが、
そう考える自分自身が戦争の悲惨な描写から目をそむけたいだけなんだろうかと自問自答

名も知れず死んでいった若者があまりにも多かった
自分の身内を守ろう、愛した人を守ろう、国を守ろう
死ぬ直前まで悲壮感もなく、自分を卑下するのでもなく、生きて、死んだ若者たち

その姿を知るためにはこの作品はいい機会でした。
このタイトルからは思いもつかない内容だった