鬼神伝 高田崇史 | ちわ☆わんつーmemory 

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日々の忘れたくないこと

「おにがみでん」と読みます。
児童書で出版した同名の「鬼神伝 鬼の巻」 「鬼神伝 神の巻」の2冊を1冊にまとめ、改訂版として一般書で2010年10月出版されたばかりの作品です。
来年GWにはアニメ映画で公開予定にもなっています。
鬼神伝 (講談社ノベルス)/高田 崇史
¥1,155 Amazon.co.jp
京都の中学に転校した天童純は、乱暴者の同級生から逃げ出したところを不仁王寺の僧・源雲に助けられた。しかし源雲の法力で、純は平安京へ飛ばされてしまう。そこは大和の神々の子孫である「鬼」と貴族たち「人」が憎み合い、争う世界だった。雄龍霊を復活させた純は、鬼の少女・水葉から歴史と正反対の事実を知らされる(内容紹介より)
 
しばらく前にタイトルに惹かれて「鬼神伝 鬼の巻」を図書館で借りましたが、あまりにも子供向けだったため読まずに返却した作品が大人にも読める形で出版されうれしかったです。
とはいえ、もともと児童書ですから活躍するのも少年。高田さん得意の歴史の裏側もわかりやすく描かれています。
物足りない、話が冗長と思えて飽きる場面も出てきましたが、いつも通り鬼やその周りのまつろわぬ民に焦点が当てられていて、きっと子供たちにも歴史の裏側を知ってもらいたかった意図があるのでしょう。

「鬼の巻」で平安の世に飛ばされた純の前に源頼光と名乗る少年が現れる。
彼は太政大臣の命令で源雲がこの世界に純を飛ばしたと教え、その目的は鬼と戦わせることだとわかる。
「なぜ人は鬼と戦うのか?」
尋ねた純に対して貴族である藤原基良は
「仏の慈悲の教えを、この大和の国に広めようとしているが、鬼たちは自分たちの信仰している邪悪な神を捨てようとしない」と答える。

なぜ純は鬼を退治するために、わざわざ時空を飛ばされたのか?

神泉苑の祠の中に封印された『雄龍霊=オロチ』
この大和の雄龍霊を復活させることができるのは素盞嗚尊の血を引いた純だけだった。

やがて戦いの場で一人の傷ついた鬼の少女水葉を助けた純は、彼女の仲間から自分の出生の事。人が突然鬼の世界を侵略してきたことを教えられる。

元貴族であったが、貴族達の理不尽さに怒り、鬼の味方となり指導者となった小野篁

小野篁は純に草薙の剣を取り、鬼と一緒になって人と戦えと命ずる。

戦いに疑問を持つ純。そして元居た世界に戻ることを希望する純。
水葉の祖父、海神は純に、元の世界に戻ったら、もっと本を読んで考えてくれと願う。
 どうして節分には鬼に豆をぶつけるのか?
 どうして河童はきゅうりばかりを食べているのか?
 どうしててるてる坊主は軒下に吊るされるのか?
 どうして雛祭りで人形を飾るのか?
 どうして天邪鬼やおとろしの指は三本しかないのか?
 どうして鬼は桃太郎に退治されなければならなかったのか?

「神の巻」では一度元の世界へ帰った純だが、小野篁にまた平安時代へ呼び戻される。
そこでは帝釈天を天命召喚した頼光や、四天王や十二神将を召喚した、渡辺綱たちがインドから帝釈天を追ってきた阿修羅王と戦っていた。
純は鬼と一緒に戦っていたが、形勢不利とみた貴族は、破壊神「弥勒」を呼び起こそうと画策する。
それを阻止しようとする純たち…

「どうして」の答えが描かれていません。
自分で考えるようにということなのかな?
アニメ化されるということで、鬼対人のスペクタクルな部分だけでなく、この歴史の裏側に抹殺されたまつろわぬ人々のこともクローズアップされるといいですね。

高田さんお得意の鬼達のお話です。




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