双子幻綺行 ‐洛陽城推理譚 森福都 | ちわ☆わんつーmemory 

ちわ☆わんつーmemory 

日々の忘れたくないこと

チャイナ推理譚です。則天武后の時代。

冷静沈着な宦官くんとお転婆な女官の双子ちゃん。

「大唐帝国初頭、ひととき洛陽に咲いた周朝の下、美貌の双子兄妹が立ち向かう妖しい古都の事件の数々」

とありますが、この煽り文句がぴったり説明しているかな。

双子幻綺行―洛陽城推理譚/森福 都
¥1,785 Amazon.co.jp
洛陽城内の庭園で、宮廷付き美人歌手の死体が見つかった。杜鵑が啼く春の惨劇は3年続き。同じ頃、則天武后の寵愛をその身に受ける王兄弟が失踪した。2つの事件を追う若き宦官・馮九郎と双子の妹香連が到達した意外な真相は? (内容紹介より)




お互いを想う複雑さ。宦官という負い目を持つ兄

キャラ設定がちょっと耽美なような。いいわ。こんな登場人物…ツボにぴたっと入りました。

推理もまあまあですが、九郎と香連のやりとりや、屈折した九郎の態度が楽しいです。


二人は15歳

嶺南の蛮族の名門出身だが、この生家、眉目秀麗な去勢児を皇帝に献上することで中央との結びつきを強めてきた。

九郎も小さなうちからその将来を決められてきた。

そのために一族を恨んだり、世をすねたとしても仕方がないと妹の香連は思っている。



洛陽長史の李千里は40歳代初めの碧眼の偉丈夫、父が罪を得たため長く不遇であったが、則天武后に才覚を見出され、現在の役目を受けた。

中央に上洛の際に赴任先の嶺南で馮家から九郎の後見を託されたが、香連はその上洛に女官になりたいと無理やりついて来た。


頭が切れて考え深い九郎は李千里にとって宮中をさぐるうえで重宝な存在であり、九郎にとっても己の存在を有利にする為の後見であった。


他人には見せない感情を妹香連の前でだけさらけ出す九郎。

それがうれしいと密かに思う香連。 不可思議な兄妹の心の中。


李から指図されて事件の裏を調べたりしているうちに、だんだん九郎の才覚が表れてくる。

李と対等に渡り合いたい、ただの宦官では終わらないと思っている九郎の野心

それは新しい敵をつくったりとハラハラさせられるシーンにもなって飽きさせない。


その九郎の鬱屈した心情を和らげることを妹の香連は自分の役目と自負し、それが他人に移ることは嫌だと思う、身内としての複雑な思いも抱えている。

この香連がかわいい。暗くなりそうな作品を明るくさわやかにしている。


全7編 それぞれに事件が起こり、またそれが連動して、双子の将来が見えてくる。

最後はびっくり!!

あの人の若かりし頃だった…