- 陸上選手のトレーニングなど、全然知らない私にとって、とてもいい解説書にもなってくれた作品
- 一瞬の風になれ 第三部 -ドン- (講談社文庫)/佐藤 多佳子
¥780 Amazon.co.jp
いよいよ始まる。最後の学年、最後の戦いが。100m、県2位の連と4位の俺。「問題児」でもある新人生も加わった。部長として短距離走者として、春高初の400mリレーでのインターハイ出場を目指す。「1本、1本、走るだけだ。全力で」。最高の走りで、最高のバトンをしよう―。白熱の完結編(データーベースより)
とうとう三年になった新二
本書は走ることを描いた作品であり、友情を描いた作品です。
新二の身体を通して、読者も走る快感を得、新二の目を通して、友達や好意をもっている子を見ている。
100m 200m そして 4継と言われる100m×4人のリレー マイルと言われる400m×4人のリレー
走っている新二は走りながらレースに失敗したり、 レースをうまく組み立てられて10秒台を出したり
その時、その時の新二の落ち込みや喜びがしっくり読者に入ってきて、一緒によろこんだり‥
自分が新二になっているような錯覚を感じる。
クラブの部長として後輩に目を配り、部員たちの動向に心配したり、こちらからみていると新二はかわいいです。
2巻で「みっちゃん」と呼んでいた顧問三輪先生に対して、競技での新二の独白が「三輪先生」と変わったりする。その時の新二の気持ちで表現が変わるのがよくわかる。細かい描写まで手が込んでいると感じるところ。
100m、200m 走るとあっという間の競技なのに、走っている新二には前を行く選手、横を走る選手が目に入り、自分の走りができなかったり、快走したり、そんなにも“走ること”に違いが出るのかと驚いてしまった。
文庫には最後に佐藤さんが取材した高校の陸上部コーチと卒業生たちとの座談会も掲載されていて、興味深い。
私自身は競技をテレビで見るのが好きという、ただの傍観者としてだか、今までは長距離しか興味がなかったけど、短距離もおもしろいと思うくらい、さわやかな作品だった。
「イチニツイテ ヨウイ ドン」 1巻ごとについたサブタイトル
新二と連が小さい時からやっていた「かけっこ」 それがこのままずっと続けばいいなぁ~ なんて思えてくる
よろしくお願いします。
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