一瞬の風になれ 2 ヨウイ 佐藤多佳子 | ちわ☆わんつーmemory 

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日々の忘れたくないこと

いよいよ進級 新二と連もクラブでは先輩に
新二はいつも連を見ている。 連に意識されるような走りをしたい。連が見てくれるような選手になりたい

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ- (講談社文庫)/佐藤 多佳子
¥580 Amazon.co.jp


オフ・シーズン。強豪校・鷲谷との合宿が始まる。この合宿が終われば、二年生になる。新入生も入ってくる。そして、新しいチームで、新しいヨンケイを走る!「努力の分だけ結果が出るわけじゃない。だけど何もしなかったらまったく結果は出ない」。まずは南関東へ―。新二との連の第二シーズンが始まる。吉川英治文学新人賞、本屋大賞ダブル受賞。(データーベースより)


この作品は走ることがテーマになっているためか、文章にもリズムを感じる。

サクサク読める。そして時々走っている勢いを感じるピース


第二のシーズン、連が足を痛めた。それでも走ろうとする連

今までの連からは考えられない‥‥連の思い。守屋先輩の思い。みっちゃんの思い。


作品は新二の一人称だから連の思いは新二が思いやるほかに読者は知る術がない。

それがもどかしいような。新二がそれに気付くのがうれしいような。


この二人の成長の物語。


みっちゃんと皆に呼ばれている顧問の三輪先生がいい

自分の果たせなかった夢を生徒に押し付けるのではなく、自分が経験した失敗を、生徒がくりかえして後悔しないよう助言し、そばで支えてくれる。 新二の黄色い髪もOKするような、個性を認めてくれて、よくひとりひとりを見てくれる。

こんな先生がそばにいたら最高バンザイ



兄健一がけが顔

せっかく気持ちよく読んでいたのに、少々がっかり。


『何故?なんでここでそんな事件を起こす? よくある設定で山場を作って話を盛り上げるため? それは姑息だな。』

そう感じたのですが、これは新二の独白形式なので新二の心の葛藤にポイントを置いている。




ジュビロに入団した健一。 まだ下部組織だが将来を有望視されている健一。

新二は気に入っている同じ陸上部の谷口さんハートを誘って観戦に




あこがれである兄。 そして才能の違いから新二がサッカーをあきらめる原因ともなった兄。

新二の複雑な心境  

連とは一緒に走りたいと思ったが、兄の姿はサッカーをあきらめるきっかけをつくった。


その兄のけが

はぁ自分だったらよかったのに、きっと回りのみんなも「新二だったらまだよかったのに」そう思っているだろうはぁ

兄も心配だが、自分が走れることに後ろめたさを感じてしまう新二は気持ちがもう陸上に向かなくなる。

責任も果たさず、ひとり閉じこもる新二。



ここは新二がどう成長するかというところ。

いつも励ましてくれた兄の変化。谷口さんや連などまわりの友人。どうやって新二が目覚めるかに重点を置いた物語。ただの爽快スポーツ小説ではないところ。ここまで描いたのはしっかりしている作品だ。

ここで新二は自分が「走る」という行為が心の底から好きだとの思いに気付いていく。




三部で健一がどうなるか? 立ち直ってきた新二がどう成長するかが楽しみ。



サッカーボールちょうど、谷口さんとサッカー観戦しているシーンは私もサッカー場へ行く電車の中で読んだので、よけい臨場感、サッカーのおもしろさを感じながら、ワクワクする気持ちで読みました。サッカーもいいんだわ~


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