英検の準1級の試験が終わった。
筆記はまあまあだったが、リスニングは悲惨で「俺、こんなに聞けなかったんだっけ?」とがっかりした。
わかっていないのにマークシートを塗りつぶす作業は虚しい。
「あれだけ勉強しても、結局、意味もわからないまま塗り絵してるのか俺は…。ロト6やってんじゃねえんだぞ。」
情けなくなってくる。


先週末は結局、思ったように勉強が進まなかった。
精神的に追い詰められてくると出る左肩の激痛が久しぶりに出た。
これが出ると、もう何もする気がなくなる。
精神力を刈り取られるような痛みなのだ。


貴重な週末をほぼムダに過ごし、月曜日からまた仕事に行った。
左肩の痛みは一晩寝たら完治していた。


部屋には「暇になったら読もう」と思って、読んでないまま積んである本が何冊もある。
月曜日の夜、英語の勉強の間に、講談社漫画賞をとった、ひぐちアサの「おおきく振りかぶって」(講談社)を読み始めたらはまってしまった。
3巻まで買ってあったのだが、面白くてあっという間に読んだ。
読み終わってから「俺もなんとかしなくては」と思った。
ようやく心に火がついて、その日は深夜過ぎまでずっと勉強をした。


おおきく振りかぶって1

おおきく振りかぶって2

おおきく振りかぶって3

「おおきく振りかぶって」は簡単に言ってしまうと高校野球漫画なんだけど、女性の客観的な目で取材をしているせいか、手を抜いていなくてすごくリアリティを感じる。
そしてこの漫画はピッチャーが主人公なんだけど、脇役(天才肌の田島、キャッチャーの阿部、そして女監督…)の方にはるかに魅力がある。
主人公も努力家なんだけど、あまりに暗くて気弱なので「しっかりしろよ、てめえは」と殴りつけたくなる。


僕はこの漫画を読んで、はじめて野球におけるキャッチャーのすごさを感じた。
野球中継を見ているとキャッチャーがよくバッターをチラ見しているのが映るが、僕は今まで彼が何をしているのか理解ができなかった。
でも実はキャッチャーはバッターを見ながら、これだけのことを考えていたのか…と漫画を読んで理解ができた。


俳優の仲村トオルも昔、キャッチャーをしていたらしい。
以前、NHKの野球番組で「よく三振を取ったときにピッチャーのことばかり言うけれど、本当はあの三振はキャッチャーが取ったんだっていうこと、あるんですよね」と話しているのを聞いて、そんなことあるのかな?って思っていたのだけど、この漫画を読んで本当なんだとわかった。


それから今日の試験まで、テレビを見るのも禁止して、娯楽は「おおきく振りかぶって」の3巻までを読むことだけにした。


アマゾンに注文していた音楽CDが何枚も届いたけれど(シーナ&ザ・ロケッツの「#1」、「#9」、「Rock 'n' Roll Heart 2」、戸川純率いるヤプーズの「ヤプーズ計画」、スネークマン・ショーの「死ぬのは嫌だ、恐い。戦争反対!」、うーむ。超、偏ってる。俺、相当、病んでたんだな。)、聴かないで勉強をする。



シーナ#1
シーナ#9
ロックンロールハート2

ヤプーズ計画
スネークマンショー


部屋に積んである「妄想力にも、ほどがある」という魅力的な帯のついたジュディ・バドニッツの「空中スキップ」(マガジンハウス)という本も読みたくて仕方がないが、我慢して勉強する。


空中スキップ

それでもどうしても問題集が終わらない。間に合わない。
木曜日はとうとう午前中、仕事を休んで勉強をした。


試験前日の土曜日の夜、なんとか旺文社の「英検準1級DAYLY30日間集中ゼミ」、ECCの「10日間完成英検準1級」と高橋書店の「絶対合格英検準1級」の3冊の問題集を終わらせることができた。


英検準1級DAILY

10日間完成英検準1級

絶対合格英検準1級

心配だったのは英作文だった。問題集を読むことしかしなかったし。
でも、実際には簡単だった。
英文の手紙くらい、落ち着いて書けば誰だって書けるのだ。


問題はリスニング。
確かにリスニングは問題集でも1回聞いたくらいだと、何を言っているのかわからない。
シチュエーションすら不明なこともある。
2回目くらいからだんだんと意味がわかってくるって感じだった。
何を話していたか、CDを止めて考えている時間も持てた。
でも本番は1回しか聞けない。止めることもできない。
それで、…悲惨だった。
試験のあとは情けなくて、家に帰る気力もなかった。


長野駅前の平安堂(本屋)に行って、「おおきく振りかぶって」を4巻から8巻まで買って、併設してあるがら空きの喫茶店で全部読んだ。

おおきく振りかぶって4

おおきく振りかぶって5

おおきく振りかぶって6

おおきく振りかぶって7
おおきく振りかぶって8

8巻目を読み終わったときは、いつの間にか喫茶店がいっぱいになっていた。
気づかなくて申し訳ないなあって思った。
でも久しぶりに漫画の世界に没頭できて、感動した。


読み終わったら少し元気が出てきた。
外は雨が降っていたけれど、雨に濡れながら車まで走った。


家に帰る途中でそば屋に寄って天ザルを食べた。
食べながら「まあ、受かってないと思うけどさ、よく頑張ったよ。弱点がはっきりわかったんだからよかったんじゃねえの?でも次は落ちるんじゃねえぞ」って自分に言った。
やっぱりでも悔しくて泣けてきた。