話を戻そう。
「文衛門」を聖域として、さあどうする。実は私には思惑があった。この年 日本中をある熱気が渦を巻いていた。 「ウルフフィーバー」 千代の富士である。私は相撲フアンであり 当時は いや今でもたぶん輪島フアンである。しかしながらこのブームに乗らない手はない。芸の世界に身を置くものの勘である。そこで出会った桜川。「桜川五郎蔵」の構想を借りて一席作ってやろう。で 出来たのが次の文句。
謹んで紹介させていただく。と もう一つ。「変わりましたよこの世の中は」もわたし風のアレンジで。
かわりましたよきょうこのごろは ここらあたりにテレビというのが入ってきてから20と余年 朝から晩まで暇さえあればテレビの前にかじりつき 家庭の対話もなくなるほどに興じましたるテレビの前だ
科学技術の粋なれば 日本はおろか世界の国の隅々までも 手に取るようによくわかる とりわけテレビのふるさとは アメリカからの映像は 西部劇やらコメディーや、ギャングものやらミュージカル テレビ電波に限りはせぬぞ 劇時用映画やプレスリーをばかしらとしたアメリカ生まれの流行歌に狂いましたぞ わたくしまでも
クーパー、ゲイブル、モンローか 御大フランク・シナトラか 夢をばらまくハリウッド 車 宝石 ミンクのコート 天に届くか摩天楼 はたまた西部の大平原は男のロマンを掻き立てる 広さ 豊かさ 華やかさ 何をとっても桁違うぞ 何たる国ぞアメリカはとあがめましたよアメリカを まさしくそのころアメリカは地球の中心ではありました、
とりわけ中でもそのアメリカを代表するは リンカーンやキャディラック、クーガ、カマロやムスタング アメリカ生まれの大型車はまさしく富と成功を象徴するものではありました、
月日流れて今日この頃だ いささか事情が変わりまして 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰のことわりか 近頃世間の噂といえば、日本製の小型自動車が、オイルショックの波にも乗りて 世界一との評価を受けて あちでもこちでも引っ張りだこ 世界中をば駆け巡る さしもの世界の大企業GM, フォード クライスラーも平謝りにと頭を下げる、
これほどかわった日本をだれが考えられたでしょう、しかしながらもみなさんよ 昔の人は言いました 東の空がほのぼのと 開け染めるよその頃に、起きろ起きろよもう夜が明けたのじゃ 起きて働け働くこそ 結構なことじゃ楽しいことじゃ けっこ こけこと呼び起こす あのニワトリに負けないように、根と努力をもちまして、明るいきれいな日本を、築き上げようとの呼びかけに、はいと答えた一億人の汗と涙の結晶が今日の日本の繁栄か ご同慶の至りとは申しまするが皆さんよ その恩恵にあずかりました幸せ世代を代表しまして、ここにこの場を借りまして お礼かたがた一言お喜びを申し上げます、
ついにやりましたよ 千代の富士が
名古屋場所は千秋楽だ、決戦結びの一番で 相手横綱北の湖を右からの出し投げで大きく泳がせ、間髪入れずに寄り切りました、二度目の優勝が成りました、来場所からは千代の富士58代横綱として土俵入りの晴れ姿 まこと嬉しく思います、それにつけてもみなさんよ、
思い出しますあの初場所を
花と嵐の16年、きれいな花もいつかは散るが、努力、辛抱、根性で築きあげたる名大関、どうかどうかいついつまでも 咲いててくだされ土俵の花よ 散ってくれるな貴乃花、相撲フアンの祈りむなしくついに散ったか貴乃花、小兵ながらも筋金入りのその体、サーカス相撲といわれもしたが柏鵬以来の大相撲 常に人気はNO,1 相撲界の屋台骨がっちり支えてくださいました、大きに有難うご苦労さん
以下略~
疲れたのでこれまで 聞いていただければわかります、
この作品が私の音頭人生の本格的なスタートとなったのであります
一か所テープに損傷個所がありますが、気にせずに