『フランシスのいえで』/ラッセル・ホーバン 他 | あんなこと本のこと
- ラッセル・ホーバン, リリアン・ホーバン, まつおか きょうこ
- フランシスのいえで
幸福感に、満ち満ちて。
ずっとずっと、読もうと思いつつ、読んでいなかったフランシスシリーズ。
実は、絵があまり好きではなくて、敬遠していたのだけれど、
読んでみたら、思いっきり感動してしまいました。
アナグマの家族、おとうさんとおかあさんとフランシスのおうちに
グローリアという赤ちゃんが生まれます。
そしたら、なんだか、おうちのなかは、
フランシスの思うようにはいかなくなってきて、
ある日、フランシスは家出をしようと思い立ちます・・・
絵本だけれど、この絵本は子供のためだけじゃなくて、
実は親になった(なる)大人のためにもなっています。
下の子が生まれて、不機嫌な子供に接するにはどうすれば良いか、
親はそんな子供にどんな風に、愛情を伝えれば良いか、
それらが、本当にさりげなく、温かく、ユーモラスに描かれています。
そして、その両親の温かさや愛情が、
しっかりと読んでいる子供にも伝わるようにも描かれているのです。
だから、読み終わった後は、大人も子供も幸福感に満たされて、
うっとりと、もしくは、ちょっぴり泣きそうになるくらい、
素敵な気分になります。
今までは、表紙だけを見て、あまり好きじゃないな、と思っていた絵も、
ページを開いてみれば、
ほんのりと、淡くやわらかなピンクと黄色だけの彩色で、
その2色だけの色使いが、かえって温かく、安心感のある絵になっていて
おはなしにピッタリなのです。
久しぶりに、しばらく幸福な余韻に浸ってしまった、良い絵本でした。