五十嵐 大介
リトル・フォレスト 〈2〉

生き方を考えさせられる完結編。

コミックを買うのがためらわれる原因のひとつに
「巻数」があります。

全16巻とか言われると、もうそれだけで諦めるし、
1巻~9巻とか、まだまだ続きそうな雰囲気でも諦めます・・・。

だって、結構な値段になるんだもん。
(小説なら、安くて一冊で完結するし・・・)

という、私の不満も完全にクリアしているのが
このコミックです。

全2巻。

素晴しい!!

しかも内容も素晴しいんだから、言うことありません。

昨日、1巻の感想を申し上げましたが、
2巻でも、いち子山村でのひとり暮らしは続きます。

あずき白菜の蕾たらの芽コゴミ
大根トマトアケビワラビ・・・

どれも手作りだったり、天然物だったりとおいしそう。

でも、そんな暮らしのなかでも
いち子のなかに微妙な変化が現れて、
結末へと進んでいきます。

レビューを見ると、結末にもいろいろと意見があるみたいだけれど
私はこの結末は好きでした。

説明も、セリフも、詳しくは描かれないけれど
実は、これ、とっても深くて、スッキリとした結末になっていると思います。

なかでも、印象的なエピソードは
街にいたとき、いち子がバイト先で仲良くなった男の子に
手作りのお弁当を持っていこうとします。

渡そうと思っていたとき、
男の子たちが手編みのマフラーを
「念がある」「棄てちゃえ」「つくるヒマあったらバイトしろ」
などと話しているのを、いち子は聞いてしまい、

結局お弁当を渡せなかった、という話。

男の子で手作りが苦手ってよく聞く話だけれど、
このコミックの流れのなかに
このエピソードがあると、憤りを覚えます。

自分の手で作ることの大変さや、素晴しさも知らないで、
バイトしたお金があれば何でも食べられると思ってるなんて!

元来、なんでも人は自分たちの手で作ってきたのに
その手作りを受けつけないとは何ごとかッ!

と、思わず熱くなってしまいました。
(コミックの中では、するりとこのエピソードは流れて行きます。
それが返って、読む方には引っかかるのかもしれません)

古来からの保存の知恵や、暮らし、
いち子が選んだ結末・・・

どれも深く染み入って
考えさせられる内容です。

本当に大切なものって、もしかしたらこの本に
描かれているんじゃないかな・・・
と思えます。