『つめたいよるに』/江國香織 | あんなこと本のこと
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- 著者: 江國 香織
- タイトル: つめたいよるに
一家に一冊。
あなたを本の世界に引き込んだ一冊は何ですか?
ちいさな頃に読んでもらった絵本?
それとも、度肝を抜かれたミステリー小説?
私は小学校低学年の頃までは本好きだったのですが、
だんだんとお友だちと遊ぶ方が楽しくなって、
中学に入ってから音楽中心の日々。
(音楽といっても、ロックとかパンクだけど・・・)
でも、ある日、この本をたまたま見かけて、
なんの気なしに読んでみたら、
もうすっかり本の世界に引き込まれてしまいました。
この短編集は
「つめたいよるに」と「温かなお皿」に分かれています。
前半の「つめたいよるに」は
子どもが主人公の短編が多いです。
日常と非日常の境があいまいで、
するすると、不可思議なことが起こります。
ときに泣けて、ときに驚かされて、ときに切なくて・・・。
このなかの『デューク』や『桃子』、『草之丞の話』などは
絵本にもなっているので、ご存知の方もいらっしゃるのでは?
後半の「温かなお皿」の方は
どちらかというと、大人が主人公の短編が多いです。
さまざまな人々の、日常のほんの1コマを切り取っているのですが、
どれも深くて、魅力的。
すべて原稿用紙3~5枚の短編なのですが、
設定、展開、文体、語彙、雰囲気が
私のこころにすっぽりとハマッて
もう大好きな一冊です。
確かに好き嫌いはあるでしょうが、
私が思うに、「一家に一冊」あっても損はない本だと思います!