著者: アガサ クリスティー, Agatha Christie, 清水 俊二
タイトル: そして誰もいなくなった


ミステリー? いや、これはホラーです!

1939年、今から66年前に書かれた、
アガサ・クリスティーの最高傑作。

66年も前に書かれていながら、
今でもまったく古びることなく、
むしろ、時を経れば経るほど、この小説の凄さは増していくようです。

あらすじはこうです。

それぞれ見も知らぬ、年齢・職業・経歴もさまざまな十人の男女が、
U.N.オーエンと名乗る人物からインディアン島に招待されます。

しかし、招待主・オーエンは姿を見せず、
かわりに十人の男女の過去の罪を告発するレコードが鳴り響きます。

そして、十人は、インディアンの古い子守唄どおりに
一人、また一人と殺されていくのです。

一体、犯人は誰なのか?
オーエンとは何者なのか?

ボートの迎えが来ず、
島に閉じ込められた十人が徐々に減っていくさまも気味が悪いですが、

だんだんと周りの人たちを疑いだし、
追い詰められていくさまは恐怖です。

残りも三人となった頃には、
読んでいる私もびくびくとして周りを見ては座りなおして読む、
といった感じでした。

そして、題名どおり「そして誰もいなくなった」とき、
読者は驚愕のラストを知らされます。

犯人探しの謎解きや、トリックも驚きですが、
それよりもこれは、もうホラーです。

静けさと気味の悪さをもった紫がかった闇の印象が、
いつまでも私の脳裏に焼きつき、離れません。