今回の出張ではレコード会社だけでなく市内のCDショップにもだいぶ足を運びました。
今フィリピンではいわゆるなんでも(どこのレーベルでも・内外・ジャンルを問わず)売っている大型CDショップはほとんどなくなっていて、レコード会社が独自に運営している小さい店舗やコンサートやイベントなどでの販売、そして意気込みのある音楽好きな若者が立ち上げたローカルなショップで求める形になっています。
ローカルショップは小回りが利き、自身のコネで珍しい盤を仕入れているので結構おもしろいものが見つかったりします。
日曜日の夕方、パサイ市のモールオブアジア方面につながる道沿いにあるショップに行こうとしたのですが、Google mapの表示が間違っていてちょっとした迷子になったことがありました。
結局直接電話をして行き方を教えてもらったのですが、迷っている最中に出くわしたのが、5、60年前は劇場だったに違いないと思しき建物。
見上げてみると独特のシェイプをした柱が印象的なビルが見えてきました。
1920年代から30年代、いわゆるアール・デコ様式で建てられたビルで、丸い煙突のような出っ張りがキアポにある有名な映画館「Times Theater」にそっくりなのであります。
下がTimes Theater、2015年に撮ったものです
Times Theaterはフィリピン人建築家Luis Ma. Araneta氏によって1939年に作られ、戦争をくぐり抜けて現存、いまでも映画を上映している貴重な建物です。
パサイの建物、ビルの名前すらわかりませんでしたが、Times Theaterと良く似た外観を持っているのでLuis Ma. Araneta氏の設計かもしれません。
作られた頃は劇場として使われていたものと思われます。
今は安い衣料品を売っているスーパーや小規模店舗が入って雑多な感じになっていますが、このちょっと「残念な」使われ方が逆にマニラらしくてなんだかほっこりしてしまいました。
フィリピンにはこんなノスタルジックな雰囲気のビルが結構残っていて、最も有名なビノンドのエスコルタ・ストリートやリサール・アヴェニュー沿いの地域だけではなくってこんなパサイの一角でも発見することができます。
今は賑やかな商店が入っているビルもちょっと離れたところから見上げてみると意外と趣のあるビルだったりすることもあるのでマニラに行かれた際には是非ちょと建物を見上げてみてください(^^)
ところで、今回お世話になったパサイのCD屋さん、20代半ばくらいの青年がやっているのですが、もともとIvory musicの店員をされていたらしく、一時はStar musicの店員もしていたそう。
インディーズのディストリビューターも結構知っていて、今回入荷した人気インディーズバンドIV of Spadesのアルバムも彼を通して直接入手することができました。
そのIV of Spades, Hey Barbaraの大ヒットで一躍フィリピンの若者たちの間でヒーローになりましたが、ご存知の通り昨年ボーカルのユニーク・サロンガ(Unique Salonga)が脱退してしまって今は3人組となっています。突然ライブに顔を出さなくなったユニークのことは、現地でも大病を患っているとか仲間割れとか色々噂されていたのでその辺のことをショップの彼に訊いてみると、IV of Spadesはギターで最年少(まだ18歳!)のBlaster Silongaくんのお父さんがマネージャーなのだが、ユニークには人気ロックバンドCallalilyのリーダーKean Ciprianoがマネージャーとしてつき、Keanの意向でソロ活動をすることになったのだそう。
仲間割れでも病気でもなくってひとまずよかったという感じでした。
四人組だった頃のIV of Spades、超カッコいいです!
こちらは3人組になってから。
シングルチャートにも登場、アルバムにも収録されているサイケデリックでディープな一曲
ニューウエーブっぽいサウンドとビジュアル系が入ったサイケなビデオが最高!
アルバムのお求めはこちらで・・・
めちゃかっこいいです!
ユニークのソロアルバムもとても20歳のミュージシャンが作ったとは思えない濃い内容の1枚、これもおすすめです!
Moira Dela Torreはじめ今最も注目を集めているアーティストが勢揃いのイベントで、IV of Spadesにも偶然会う機会がありました。
その模様は後日・・・