来春の統一地方選挙を控え、橋下徹知事の政策に賛同する政治グループ“橋下新党”の動きなど、大阪府議会はいま流動化している。取材を進めているが、政策的な議論より、知事の応援をもらえるかどうかという動きが先行しているように見えるのが気がかりだ。

 例えば、ある議員は、以前は知事提唱のWTCビルへの庁舎移転に反対し、議会でも反対票を投じたのに、最近になって突然、移転を容認する発言をし始めた。知事は自身と意見が異なる議員の選挙区には“刺客”を立候補させるという方針を出しており、刺客擁立を回避するため意見を変えたようにも感じた。

 一方、知事の意見に賛同していると話す議員のなかにも「政治的な主張が同じでも、同じ選挙区で戦う立候補予定者とは仲間になりたくない」という人もいるという。知事の応援を独り占めできないのは困るということだろう。また、どこまで本気なのかは分からないが「知事に意見をあわせるから、とにかく応援してもらいたい」と露骨な話をした議員もいた。

 自分の政治信条に誠実でまじめな議員も少なくないとは思うが、政治家は落選すれば、ただの人だ。だから、選挙に必死になるのは当然だろう。知事をはじめ、周囲の意見を聞いた結果、自身の考えが変わるということもあると思う。一方で、選挙を有利にするためだけに、自身の主張をころころと変える議員がいるのだとすれば、それはどうかと思うのだ。

 “橋下新党”の結成を目指す準備会に出席したある議員は「選挙のため、知事の人気にすがって参加するのは政治家として最悪。そういう議員とは一緒に活動したくない」と話していた。議員の間でも、いろんな思いが交錯している様子だった。

 おそらく、選挙になれば、立候補者のほぼ全員が「私は大阪のことを考えている」と訴えるだろう。だが、実際は玉石混交だ。政治家として、地元を良くしたいと考えている人か。それとも、自分だけ良ければよいと思っている人か。そこを見極められるよう、取材を続けたい。(康本昭赫)

【関連記事】
統一選をみすえ、うごめく大阪府議たち “橋下新党”の行方は?
橋下知事支持の府議らが新会派へ 統一選で“橋下派”の受け皿に
揺れる自民府議団 「橋下新党」台風の目
「大阪市以外は、まんじゅうの皮…」 橋下知事“失言”で府議会騒然
橋下知事発言は「虚言」 大阪市長が市議会で批判
黒船か? 電子書籍の衝撃 揺れる出版界

紀伊半島沖に地震・津波計=「東南海」対策に期待-無人機で海底に設置へ・海洋機構(時事通信)
東北4県 避難所利用わずか6.5% 第1波後次々と帰宅(河北新報)
<温暖化報告書>IPCCが独立委設立 作成手続きを再検討(毎日新聞)
朝鮮学校関係者と面会検討=鳩山首相(時事通信)
速度違反し逃走図る…山口大の学生支援部長逮捕(読売新聞)