顔などに大きな傷跡が残った労働災害の補償で、男性は女性よりも低い障害等級とする国の基準は法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、京都府の男性(35)が、等級認定の取り消しを国に求めた訴訟で、国は10日、国の基準を違憲として認定の取り消しを命じた京都地裁判決を受け入れ、控訴しない方針を決めた。

 厚生労働省は今年度中に障害等級表を見直す方向で検討するとしている。

 5月27日の京都地裁判決は、容姿に対する感じ方や影響については男女差があり、「等級の男女差に根拠がないとはいえない」としながらも、現状のような大きな差を設ける合理的根拠はなく、違憲と判断した。

 1947年に策定された労災の障害等級は、交通事故の自賠責保険や犯罪被害者への給付金など様々な制度のモデルとなっている。違憲判決が確定することで、こうした制度の内容にも影響を与える可能性がある。

 判決によると、原告の男性は1995年、金属の溶解作業中に顔などにやけどを負い、2004年、腕などに負った傷と合わせて障害等級11級と認定された。

 障害等級表では、顔などに大きな傷が残った場合、男性は12級、女性は精神的苦痛が大きいとして7級になる。給付される額は、12級の場合は年間賃金の半分弱(156日分)を一時金で受け取り、7級は約35%(131日分)を年金として受給できる。原告の男性の場合は腕の傷も合わせて11級のため、年間賃金の約60%(223日分)を一時金で受け取る形になっていた。

 国は「女性の方が顔などの障害のため就労機会を制約される」などと主張してきたが、判決後、関係省庁で検討を進めた結果、現在の等級がつくられたのは、労災保険法が施行された1947年と古いことなどから、判決を受け入れて等級表を見直すことにした。

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