Hope Sandoval & the Warm Inventions | 私的音盤幻聴記

私的音盤幻聴記

偏愛している音楽を中心に書きます。

先日、某密林サイトを適当に見ていたらMazzyStarの新譜が出ているのを発見。
去年の9月に出ていたんですねぇ…いや、結構ファンなんですけどね…
何せ17年ぶりのの新譜ですもので、今更出るとは思ってなくてチェックを怠ってました。
もちろん即注文しました。明日くらいには届くでしょう。

めっちゃ届くのが楽しみで、今は過去のMazzyStar関連のCDを聴いています。
その中でも特に好きなのが…MazzyStar本体ではなくヴォーカルのHope Sandovalのソロプロジェクト
Hope Sandoval & the Warm InventionsのBavarian Fruit Breadというアルバムです。



MazzyStarが1996年の3rdアルバム以後お休み状態となり、しばらく経った2001年に発表されました。
My Bloody ValentineのドラムのColm Ó Cíosóigが前面的にサポートしていて、実質Hope SandovalとColm O Ciosoigの二人組のようです。

サウンド的には、ゆったりとしたフォーク調の曲にHope Sandovalの舌足らずで気だるい歌が乗るMazzyStarと同路線の音。しかしColm Ó Cíosóigのセンスなのかアシッドフォーク色がより強く感じます。
そんな中、特筆すべきはゲストギタリストとしてBertJanschが参加している事。このアルバムを買った時にはあまり興味なかったのですが、後にBertJanschが1960年代から70年代にメンバーだったPentangleにはまって、今では超大好きで最大限にリスペクトしているバンドになりました。
BertJanschとの出会いと言う意味でも個人的には大切なアルバムですね。
残念ながらBertJanschは2011年に亡くなってしまいましたが、MazzyStarの新譜にもゲスト参加しているようです。

また本作のサウンドの話に戻ります、結構印象的なのがグロッケンシュピール(所謂鉄琴)とハーモニカが多用されている事。これが何とも言えない郷愁をそそる感じがあります。
それと絶妙なリヴァーブやディレイでの音空間の作り方。起伏の乏しい楽曲と相俟って心地の良い眠気を誘います。この辺自分は凄く波長が合うのですが、人によっては不快な暗黒サウンドと感じるかもしれません…。

このサウンドは典型的なアシッドフォークと言えると思います。元々のアシッドフォークは1960年代後半にサイケデリックムーブメントの流れから出てきたものですが、アシッドフォークの名盤とされるものの中には、意図してサイケな感じ、幻覚的にしようとしたのではなく、曲を作って録音してみたら自然と不思議な感じ、違和感のあるサウンドになった…というようなものが多いような気がします…長くなりそうなので端折りますがアシッドフォークとは60年代70年代には曖昧な存在で、後の時代に定義されたジャンルだと考えています。

で、1980年代?以降アシッドフォークを意識した音楽が作られるようになり、それは2000年代後半にDevendra Banhart等のフリーフォークという形で日の目を見ます。
しかしそうした意識して作られたアシッドフォークのアルバムでこれは良い!って思えるものが個人的にはあまり無い…
そんな中でHope Sandoval & the Warm InventionsのBavarian Fruit Breadは名作と言っても良い…個人的には大傑作です。