昨年の、２９歳の誕生日は、病院で迎えました。
悲しいことに、その前日に、放射線治療の影響で、
口の中と喉が猛烈に荒れて、
口から食事をすることが難しくなってしまったため、
直接胃まで栄養を流すチューブを、鼻から、
プサリッ
と挿された、なんとなく情けない姿で。
もちろん、選択動注化学療法のための、
カテーテルも、
右耳から
ブサリッ
と挿されたままの状態で、
そんな、体の細長ーい仲間、約２名、とともに迎えた、
２０代最後の誕生日でした。
彼は、その日１日休みを取って、病院に来てくれていました。
その日彼がくれたのが、
コレ。
ペアリングでした。
でも、彼はまだ社会人２年目。
この時期は、年１回のボーナス直前で、最もお金が無い時期です。
しかもこの年、車を買い替える必要があったり、引越しがあったり、
私のお見舞いのための、駐車場代などなどにも、
かなりお金が掛かっていて、日々の生活だけでも大変な様子でした。
事前に、
「プレゼントは、当日にはあげられないからねー」
と言われていました。
だから、くれたことはすごく嬉しかったけど、
「どうやって？？？」
という小さい疑問も同時に沸いてくる。
でも、そんなことはお構いなしに、
２９歳にして初めてもらった‘指輪’というものを
不思議そうにジロジロ
眺めていると、
「むむ？？なにやら、箱の中身が浮いているような？？？」
・・・・・・
箱の中から、
ギューギュー
に押し込められた手紙が出てきました。
そこには、
最近、仕事も忙しい時期で、体調も悪くて、
入院当初よりは、たくさんお見舞いに来れていなかった こと。
それは、事実だけど、
実は、
そんな中で、
平日２日の仕事の後、
土日の半日、
バイトをしていた ということ。
（確かに、前の週に来てくれた時、
疲労からくる、でっかい目ばちこ作ってきてた
）
退院してから渡したら、
なんとなくズルイ気がして、
入院していようが、いまいが、万が一この状態が続いても、
そんなことは関係なく、
気持ちはずっと変わらないから。
そのことが分かって欲しくて、
どうしても、誕生日にプレゼントを渡したかった。
毎週、必ず私に会いにも来れるように、
なにより、私に喜んでもらうために、
嘘をついて働いていた ということ。
理由はどうあれ、
嘘をついていたことを、
そのせいで会える時間が
減ってしまっていたことを、
本当に申し訳なく思っていた ということ。
が書かれていました。
・・・・・・・・・・
泣くよね。
その日から、ずっと、左手の薬指にはめていました。
人生で初めての指輪。
きっと、家族も周りもビックリしていたと思うけど。
治療中も、辛い時も、
今までよりも、
もっとそばにいてくれているような、
そんな心強い感覚でした。
そんな、昨年の誕生日エピソード。
ちなみに、手紙には、
「来年の３０歳の誕生日は、２人で迎えようね。」
と書いてありました。
予期せぬ転勤で離れてしまったから、
叶いそうにはありませんが
変わりない関係で、
体にささっているものもない状態で、
無事に迎えられる（だろう）ということが、
大事ですよね、きっと
お付き合いいただきありがとうございます
